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ー空間ー191

 雄介は再び望の荷物を玄関へと置くと、


「夕食作ったし……食べるやろ?」


 雄介は笑顔で言うのだが、どうやら望はいい顔をしていない。


「おい……俺の言うこと聞いてなかったのかよ。昨日、寝る前にお前に言っておいただろ。今日一日、お前は寝てろって……」


 そう望は険しい顔をしながら雄介を見つめる。


「しゃーないやんか……俺はずっと寝てるってことできへんのやから。これでもな、望からのメールが来るまでは寝ておったんやぞ。俺からしてみたら、結構寝ておった方やで。おかげで夜寝れるか心配になってきたくらいやしな」


 望はため息をつくと、


「分かったよ」


 そう言いリビングにある食卓の方へと向かう。


 しかし、雄介という人物は料理好きというのか、料理が上手いというのか、また昼間とは違う料理が並んでいた。


 望が「いただきます」の後に一口口へと運ぶと、これもまた美味い。


 望は「美味しい」とは口には出さなかったものの、幸せそうに食べているのだから、雄介からしても満足なのであろう。


 そして、雄介の方もオムライスを口にする。


「おお! めっちゃ美味いやんか……! 俺からしてみたら上出来やんか。久しぶりに美味く出来たって感じがするわぁ」


 そう雄介は自分を褒めているようだ。


 そこに望はため息をつきながらも、


「確かに美味いよな……」


 と呟くように言う。


 望は大分小さな声で言ったはずなのだが、どうやらその言葉は雄介の耳に届いていたらしく、


「せやろっ! めっちゃ今日のは美味いわぁー!」


 そう笑顔で言っていた。それに何だか望の方も安心したようで、一気に食べ終えるのだ。


「雄介……風呂貸してくれねぇかな? もう今日は疲れたし、寝たいからさ」

「あ、ああ、ええよ」

「ありがとうな」


 そう言って望は着替えを持ってお風呂場へと向かうのだ。

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