「仕方ねぇだろ……俺は琉斗に嫌われちまったんだから、どうすることも出来ねぇじゃねぇか。 もう後は和也か雄介に任せることにするよ」
望はそれだけを言うとサッサと車へと向かって行ってしまう。
そんな望の姿に和也は溜め息を漏らすと、琉斗と裕実が居る場所に向かうのだ。
裕実は自分の近くへと来た和也の姿を捕らえると、
「望さんは?」
「へそ曲げちまったよ。『俺は本当は子供が嫌い』だとか言ってな」
「そうだったんですか。って……これから、望さんと琉斗君の関係はどうなるんですかね?」
「さぁな。とりあえず、俺は手出さないでいようかなぁ? って思うんだけど……」
「でも、和也が間に入らないとどうしようもないんじゃないんでしょうか?」
「ま、そう言われればそうなんだけどさ。だけど、たまには、望自身で解決させてもいいんじゃねぇか? しばらくは琉斗と一緒に居なきゃならねぇんだし」
「でも……もしかしたら、今回の琉斗君と望さんの関係って、僕達にも否があるかもしれませんよ?」
その裕実の言葉に和也は耳を傾ける。
「ん? それはどういうことだ?」
「和也にしては珍しいですね……気付いてなかったんですか?」
その裕実の言葉に和也は首を傾げるのだが、どうやら、思い当たる節がないらしい。
「ないんだよなぁ? 教えてくれね?」
「だから、ですね……。僕達が望さんや琉斗君の前でイチャついたじゃないですかー、それを琉斗君が見ていて、雄介さんと望さんの関係を再度、望さんに聞いたんじゃないんですかね? それで、望さんのことですから……もう、琉斗君には言い訳が出来ないと思ったんだと思いますよ。 それで、琉斗君に望さんと雄介さんの関係を言ってしまい、琉斗君は雄介さんを望さんに取られたと思い『嫌いだ!』ってことを望さんに言ったんじゃないんでしょうか?」
「あー、なるほどー、そういうことかぁ」
和也は納得すると琉斗の身長に合わせ座り込み、
「今の話聞いてたんだろ? やっぱり、そうなのか?」
その和也の問いに琉斗は首を思いっ切り縦に振る。