「なら、俺達にも責任があることになるのかぁ」
「そういうことになりますよね。だから、僕達が二人の関係を戻してあげなければならないんじゃないんでしょうか?」
「まぁなぁ、俺達の責任なら、そうしにきゃなんねぇよなぁ」
「そうですよ! 寧ろ、やらなきゃ和也らしくないですから!」
「そうだよなぁ」
そう、まだやる気が無さそうな和也なのだが、少しだけにやけ始めたようにも思える。
和也の性格とは、褒めれば調子に乗るタイプだということを、裕実は分かっている。
「ですよ! 望さんと琉斗君の関係を取り戻せるのは和也しかいませんから」
そう言って裕実は和也に笑顔を向けると、更に和也はにやけた表情をし、もしかしたら完全にやる気が出たのか、
「そうだよなぁ、俺がやらなきゃ誰がやる! って感じだもんなぁ」
「そうですよー。和也しかいませんからー、だから、よろしくお願いしますね」
「分かった!」
和也はやっとのことで二人の関係を取り戻すことを決意したのか、大きな声で言うと気合いを入れ拳を握る。
とりあえず、へそを曲げてしまった望の方は、とりあえず今和也の目の前にいる琉斗を納得させた方が早いだろうと思った和也は、また琉斗の身長に合わせてしゃがむと、
「なぁ、琉斗……」
和也は琉斗の目線に視線を合わせ、琉斗の名前を呼ぶと、
「琉斗は雄介おじちゃんを取った望兄ちゃんが嫌いになったんだろ?」
その質問に琉斗は頷く。
「嫌いなのは別に構わないんだけどさ。じゃあ、雄介おじちゃんとお母さんはどっちが好きだ?」
琉斗は首を傾げ考えているようだ。
「和也兄ちゃーん……どちらかじゃないとダメ?」
そう可愛く聞いてくる琉斗。
「ああ……そうだな……ダメだなぁ。寧ろ、男なら、どっちか選んで欲しいかもな。 なんか、そこはカッコ悪くねぇ? 質問では、どちらがいい? と聞かれているのに、どちらがいいか? っていうのを決めないのはさ」
「なら、お母さん!」
「そっか!」
その琉斗の答えに和也は笑顔を漏らす。
どうやら琉斗は和也が思っていた通りの答えを出してくれてホッとしたようだ。 そう、普通、そこは『母親』と答えることが多いだろう。 ということは、琉斗は見事に和也の思い通りに答えてくれているという事になっているのかもしれない。
「じゃあ、次の質問な……。次の質問はー? 今、琉斗のお母さんは入院してるだろ?」
その和也の質問に頭を頷かせる琉斗。
「琉斗のお母さんを治療してくれるのは、望兄ちゃんなんだよな。望兄ちゃんにお母さんの病気を治してもらってもいいか?」