「んー、あんま好ましくねぇけど……」
和也は目を宙に浮かせると、
「な! ってことはさぁ、その新しくできる病院って! 望が院長になるってことじゃねぇのか?」
「……へ? あ! そういうことになるのかぁ、いいような? 悪いような? って所かな?」
「だから、望の親父さんは五年間でいろいろな病院のことについてノウハウを学べって言ってたんじゃね? それくらいになれば、望も軽く三十歳を越えてる訳だしさぁ。ちょっと若いかもしんねぇが……若い院長もいいんじゃね?」
「まぁ、確かにな……。そういうことかぁ、だから親父は五年間の猶予をくれたって訳だ。でもさ、五年って長いようで短い気がするよな」
「まぁ、確かにな。まぁ、あくまで五年だから、それをオーバーしてもいいんじゃね? 望が納得行くまで勉強して、それからでも遅くはなさそうだしさ。それまで、俺は望に協力するからよ。俺も望の親父さんに、望と一緒に新しくできる病院を任せられたんだ……やるしかないだろ?」
「そうだな。多分、親父のことだから、そこも計算してんだと思うんだけど?」
そこまで言うと、望の頭には他のことが浮かんできたのか、
「なぁ、まさかとは思うんだけどさ。ほら、歩夢が医者になるって言ってたじゃねぇか……まさか、歩夢をその新しくできる病院に入れろってことじゃねぇだろうなぁ」
「まさか……それはねぇだろー。歩夢が高校を卒業するまで一年ちょいある訳だし、それから医大に行ってたら、合計で七年は掛かるだろ? そっから研修医として二年……結局九年掛かることになる訳だしー」
「だよなぁ、歩夢じゃねぇよなぁ。それだと、やっぱり新城になるのかなぁ? ま、それは、後、五年の間に考えるかぁ」
「そうだな……望の目でいい奴を見付けて引き抜けばいいんじゃねぇのか?」
「まさか……親父の奴……雄介のことを言ってるんじゃねぇだろうなぁ?」
「もし雄介にするんだって、八年必要なんじゃね? 今から医大に入ったとしても……そんくらい掛かるんだしさぁ」
「んー……まぁ、看護師なら医者よりかは少ない年数で済むんだけどなぁーって……望? 何で? 雄介が出て来た? 雄介は別に医者や看護師になりたいなんて言ってねぇんだろ?」
「いやな……それがさぁ、前に雄介が言ってたんだよ。今の仕事を辞めたいって……で、医者か看護師になろうかなぁ?」