雄介の甘く低い声と優しい笑顔に、望はその瞳で雄介を愛おしげに見つめた。
「何?」
雄介が優しく望の頭を撫でる。その仕草に、望はただ無言で雄介を見上げるだけだった。だが、その瞳には雄介への想いが溢れている。
望の様子に気づいた雄介は、彼をそっと抱き寄せた。その腕は、優しさと強さを兼ね備えた包容力に満ちている。
二人の想いは今、確かに重なっていた。望は大人しくその温もりに包まれる。
「望……もう、俺……我慢できん……」
雄介が低く囁き、望の耳元でそっと唇を寄せる。そのまま、望の耳を甘く舐め始めた。
突然の雄介の行動に、望は驚き、反応する間もなく体を震わせる。そして、思わず甘い声が漏れた。
「やっぱり……琉斗を預かったの、間違いやったわ。こうしてる時間、全然作られへんかったもんな……」
雄介の声には悔しさと切なさが滲んでいる。
「琉斗が来てから、俺、あいつに付きっきりやったやろ。でもな、ほんまに大事にしたいんは望なんや。あのとき、望にちゃんと構えへんかったこと――悪かった。ほんま、ごめん。俺はもっと望との時間を大切にしたかったんや……」
そう言うと雄介は一度望から離れ、視線を逸らした。
「……スマンな。暴走してもうた。もし、こんな俺が嫌になったなら……離れてもらってもええで」
雄介の言葉に、望は小さく溜息をつく。
「……良かった」
その声には、どこかホッとした響きがあった。
「雄介がまだ俺のことを、ちゃんと好きだって分かってさ」
そう言う望の顔には、少し照れくさそうな笑みが浮かんでいる。そして視線をそらし、頬を掻きながら続けた。
「情けねぇけどさ、俺……琉斗を可愛がるお前を見て、嫉妬しちまってたんだよ。分かってるよ、琉斗はまだ小さいし、世話が必要だって。でもな、俺だってお前が好きなんだ……だから、雄介を琉斗に取られてる気がして……な」
その言葉には、望の素直な気持ちが込められていた。
琉斗の存在が、二人の関係を一時的に遠ざけた。それでも、今こうして二人だけの時間を過ごせているからこそ、互いの想いがより一層愛おしく感じられるのだろう。