それから暫くして放心状態が解けたのか、
「あ、おう! そうやな。って、俺だけやなかったって訳や」
「あ、ま、まぁ……そうだな」
久しぶりにいや初めてかもしれない言葉に望は、やはり後で気恥ずかしいなってきたのか、先程の真剣な目とは違い視線を外してしまっていた。
「ほんなら、どうする?」
そんな優柔不断な雄介に、望は雄介のことを見上げ、
「お前がしたいようにやれよ……それは、前にも言っただろ?」
「せやけど、相手の気持ちも汲まないとアカンやろ? 俺はそういう性格なんやからな」
「分かってるけど……たまには、お前が押してみろよ。俺はそれでいいって言ってるんだからよ」
「せやな」
雄介は望のその言葉でやっと行動に移したのか望の体を抱き上げると、地下にある部屋へと連れて行く。
そんな雄介の姿に、望は安心したような顔のような優しい微笑みで雄介のことを下から見上げていた。
そして、ゆっくりと望の体は地下にあるベッドへと降ろされる。
「今日は望……風呂とかに入らんくてええんか?」
望は腕を顔の前まで持ってくると、雄介に自分の表情を見せないようにしている。
「あ、ああ……ぅん……。今、そんなことをしたら、そんな気にならないような気がするからさ」
「ほんなら、ええねんな?」
雄介はそう優しく聞いた筈なのだが突然望はベッドから起き上がり、
「なぁ……もう、聞かなくても分かってんだろ? なら……来いよ」
望にしては珍しく挑発的な言葉を口にする。
そして雄介の肩に両腕を回し唇を重ねるのだ。
不意打ちな望からのキスに雄介は目を閉じる暇もなかったらしい。
望からの長いキス。
忘れかけていた何かが蘇ってくる。
雄介は微笑むと雄介は望の体を強く優しくシーツへと沈ませる。
「今日の望……まだ、スーツやってんな。俺もまだ仕事着やし、設定は消防士とサラリーマンか?」
「……せ、設定もくそもねぇだろー、まんまなんだからよ」
「まんまなら……望、白衣着るか?」