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ー天使ー58

「……へ? 和也の方が小さいのか?」

「まさかぁ?! 裕実のが小さいって言ってたんだよ」


 二人の下ネタ話に、望と裕実はついて行けるわけもなく、むしろ頭を抱えため息を吐いていた。


 望は雄介の腕を掴むと、和也に手を振り、


「とりあえず、俺たちは帰るからな……んじゃ、明日!」

「おう! 望! 今日は琉斗がいないからって、暴走すんじゃねぇぞ」


 そうにやつく和也だったが、望はそれを無視し、雄介の腕を引いて和也の家を出て行った。


 そして望は、自分の車を止めている和也の家の地下駐車場へと向かう。


「なぁ、雄介……帰る時、車の運転してくれねぇか? たまには俺が運転しない時があってもいいだろ?」

「望がそう言うんなら運転してもええけどな」

「そいじゃ、よろしく!」


 望はそう言うと助手席へと座った。


 雄介は望から車の鍵を預かると、エンジンを掛け、車を走らせる。


「久しぶりに車の運転したような気がするわぁ」

「だろうな……。暫く運転してないと腕が鈍らないか?」

「大丈夫や……体が覚えとるし」


 雄介の言う通り、久しぶりの運転にも関わらず、きちんとした運転をしているようだ。


「そうだ! 聞くの忘れてたけどよ。雄介、ちゃんと免許証持ち歩いているのか?」

「そりゃ、もちろん! 財布ん中に入ってんで! それに、持ってなかったら俺だって、望に車の運転頼まれた時に断っとるしな」

「そっか……なら、いいんだけどよ」


 そんな時、いつもは渋滞していない所で渋滞しているのが分かる。


「何かあったんかな?」

「確かに……この道は何かねぇと渋滞しないからな」


 二人がそう話していると、車はゆっくりとではあるが前へと進み、その渋滞の原因が分かってくる。


 今日は、この辺一帯で検問をしているらしく、道路の端にパトカーが止まっていて、何人かの警官が車を止めていた。


「なんや、検問かいなぁ」

「まぁ、この道が混むってことは大方そういうことだからな。まぁ、あとは事故渋滞とかか?」

「そうなん?」

「ああ……」


 やがて雄介たちの番になると、警官は色々と雄介に訪ねてくるのだった。

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