「最後に免許証の方、拝見してもよろしいでしょうか?」
雄介は警官にそう言われ、財布を内ポケットから出して免許証を見せた。
「はい、ありがとうございます」
そう言われると、望たちはやっと渋滞から抜けられた。
完全に検問のせいで渋滞していたらしく、検問を抜けると車はスムーズに走り始めた。
「なぁ、さっき、警官に免許証を見せた時に、お前の財布の中身が見えちまったんだけどさ、なんで免許証がそんなに沢山あるんだ?」
「そりゃ、仕事で使ってるからな。持ってるのは車の免許証だけやないし。とりあえず大型の免許も必要やし、特殊免許も必要やし、まぁ、今の仕事しとると、他にいっぱい免許持ってなきゃアカンってことやで」
「ならさぁ、控えめに言って、頭良くないと免許取れねぇんじゃねぇの?」
「まぁ、多分な……」
「雄介って、思ってた以上に頭がいいんじゃねぇのか?」
「どやろな? とりあえず、記憶力はええよ。免許なんかは記憶力がメインやからなぁ、みんな、一発合格しとるしな」
「だから、レスキュー隊員になれたんじゃないのか? レスキュー隊員になるのは大変なんだろ?」
「そりゃな。知力も体力も必要やし」
「なーんだ……じゃ、大学入試の方は心配しなくてもお前なら大丈夫そうだな」
「んー、それでもどうなんやろ? 勉強とそういう物の知識とか違うような気がすんねんけどな」
「でも、普通に高校は入れたんだろ?」
「まぁ、第一志望の高校にも一発で入れておるけど、それでも大学入試はしてへんからなぁ。高校の後は消防学校やったし」
「専門校に入れたんなら、多分、大丈夫だと思うぜ」
望は雄介の能力を知り安心したのか、車の背もたれへと寄りかかると、
「やっぱ、雄介って凄いんだなぁ」
「何がや?」
「俺より知識が豊富そうだと思ったからよ」
「そういうもんなんかな?」
「ほら、俺は偏った知識しかねぇけど、雄介は消防士になってからは色々な知識を身に付けたんじゃねぇのかなぁ? って思ってよ」
「まぁ、確かにそれはあるのかもしれへんわぁ」
「それに、俺たちと一緒で人の命を守る仕事だから、人の命に関することは大丈夫そうだしな」