そう言う和也だが、こういう場所では一番はしゃぎそうな雰囲気を漂わせているのは相変わらずだ。
みんなが準備を終えると、望たちは早速和也の車へ乗り込む。
出かけるとなるといつも和也の車になるのは、国産車で運転しやすく、雄介でも望でも和也でも運転できるからだろう。今回も運転は和也で、助手席には裕実が座る。そして後部座席は、和也の後ろに望、裕実の後ろに雄介、その間に琉斗が座るという配置になった。
「とりあえず、遊園地に出発!」
和也が元気よく声を上げるが、望と裕実は同時にため息を漏らす。
和也はちらりとバックミラーで雄介を見ながら言った。
「お前さぁ、さっき望が言った通り、遊園地に着くまでの間はちゃんと寝てるんだからな!」
「分かっとるって。そないな約束で今日は遊園地に行けることになったんやからな」
「ならいいけどな」
「ほな、おやすみ」
雄介は仕方なさそうに目を閉じ、シートに体を預ける。その間、車内の空気は自然と静まり返る。
和也たちは、雄介が眠れるよう声を控えめにしていた。浅い眠りでは周囲の音が気になるだろうと配慮しているのだ。眠りが深くなれば、多少の音では起きない。和也も、雄介がしっかり休むまではおしゃべりを我慢しているようだった。
望の家を出てから約三十分。車内には雄介の微かな寝息が聞こえ始める。
「やっと、雄介……寝れたみたいだな」
「ああ……」
望は答えながら、左肩に頭を預けて眠る雄介の姿をちらりと見て、少し安心した様子を見せる。
そんな中、運転しながら和也は暇そうにしている琉斗に声を掛けた。
「なぁ、琉斗。雄介おじさんのこと、好きなのか?」
いきなりの質問に琉斗は顔を上げ、少し考える素振りを見せた後、笑顔で答えた。
「うん! すごく好き! だって雄介おじさん、いっぱいおもちゃ買ってくれるし、遊んでくれるし、かっこいい消防士さんだから!」
その子供らしい答えに和也はクスリと笑う。
「そっか。琉斗にとって、雄介おじさんはいい人なんだな」
「でもでも、和也兄ちゃんも、望兄ちゃんも、裕実兄ちゃんも、みーんな好きだよ!」
無邪気な琉斗の言葉に車内は少し和やかな空気に包まれる。望はその様子を微笑ましく見つめながら、ふと外の景色へ視線を移した。