和也と琉斗と雄介は急いで同じゴンドラへと乗り込み、その後ろで待っていた望と裕実もゴンドラへと乗り込もうとしていたのだが、裕実がゴンドラへ乗り込もうとした直後にゴンドラの入口でつまづき、望は動いている乗り物に乗るのは初めてで、どうやって乗ったらいいのか戸惑っているようだった。
それを見ていた和也と雄介は、溜め息を漏らす。
「やっぱり、俺が望と乗ってやれば良かったわぁ」
「俺も裕実と乗ってやれば良かったと、今更ながらに思うぜ」
何とかゴンドラに乗れた二人の姿を見て、和也と雄介は安心すると、いつの間にか観覧車は地上から五メートルくらいまで来ていた。
「なんやろ? 観覧車って落ち着くよなぁ?」
「ホンマ、何でやろな?」
二人は日頃の疲れを癒やすかのように、ゆっくりと窓の外を流れていく景色を眺める。
そんな二人の様子に、琉斗は子供ながらに邪魔してはいけないと思ったのであろう、雄介の膝の上に大人しく座っていた。
観覧車はゆっくりと地上から離れ、四分の一を過ぎた頃だっただろうか、遊園地以外にもいろいろな景色が見えてくる。
今日の天気は快晴で、遠くの方に見える富士山までも見えてきた。
富士山はもちろん、その反対側には東京を象徴するビル群も見え始め、地上には湖が広がっていて、その湖は太陽の光を吸収し、湖面をキラキラと輝かせ、自然にできた宝石のようだった。
きっと、この遊園地で観覧車が人気があるのは、この自然が作り出す湖のおかげなのかもしれない。
そして一番上まで来ると、流石は日本一の観覧車なだけあるのであろう。 大袈裟ではあるのだが、太陽に手が届きそうなくらいの高さまで来ていた。
「ねぇ!」
そう、今まで大人しくしていた琉斗がいきなり立ち上がり、
「太陽、取れるかなぁ?」
その子供らしい質問に、二人はクスリと笑うと、
「なぁ、琉斗。太陽を取ってしまったら、世界中のみんなが困ってしまうで……」
その雄介の答えに、琉斗は首を捻らせる。
「え? どうして?」
「ほなら、琉斗は太陽がなくなってもええんか?」
その雄介からの質問に、琉斗はまた首を捻らせたのだが、
「んー……なんか! 困るような気がする」
「そうやろ? 琉斗が困んねんやったら、みんなも困ってしまうことになるんやで……。それに、太陽がなくなってしまったら、雨ばっかりになって、外で遊べなくなってしまうしな」
「それは嫌だ!」
「ほんなら、太陽は取らない方がええかもしれんな」
「うん!」