どうやら雄介が言っていることを琉斗は理解したらしく、琉斗は大きな声で頷く。
「ねぇねぇ、太陽で思い出したんだけどー、さっきね、和也兄ちゃんには話したんだけどね……次の次の日曜日にボクの幼稚園で運動会があるんだけど、雄介おじさんは来れる? 望兄ちゃん達は来てくれるって言っていたんだけど……。それと、望兄ちゃん達にそれを話したら、次の次の日曜日なら、お母さんも運動会を見に来れるって言ってたんだ!」
その琉斗の言葉に目を丸くしたのは雄介だ。望達が琉斗の幼稚園で行われる運動会に来るということも意外ではあったのだが、まさか琉斗のお母さんまでも来れるみたいなことを琉斗が言っていたのも意外であったようだ。
「それって、ホンマか!?」
そう雄介は琉斗の方にではなく、和也の方に話を振る。
「ああ、まだ、多分ではあるんだけどな。とりあえず、琉斗のお母さんの手術は今週の木曜日の午後からで、順調に回復すれば、琉斗の運動会までには一時退院は出来るみたいだぜ。さっき、行きの車で望がそう言っていたからさ……」
「なんや、ホンマやったんかぁ」
雄介は安心したかのように椅子の背もたれに寄りかかる。
「確かに良かったな……ダブルで嬉しいことだらけじゃねぇかぁ」
「せやな……。やっぱり、姉貴には昔、色々と世話になったし、早く元気になってもらいたいしな」
「雄介はお姉さんに世話になっていたのか?」
「まぁ、消防学校に入る前に姉貴の家に泊めさせてもらったりな……まぁ、小さい頃は兄弟やから、遊んでもらったし。とりあえず、姉貴とはめっちゃ仲がええんやって」
「そうだったのかぁ、なら、やっぱ、早く治って欲しいよな? まぁ、俺もだけど……ほら、働いていて一番いいことは患者さんが病気とか怪我を治して、笑顔で退院していくことだからさ。 身内の知り合いとなれば、尚更、嬉しさは倍増するけどな」
「せやな。 俺もそうやし……助けた人達が治ってくれたら、めっちゃ嬉しいしなぁ」
「まぁ、俺達はそういう仕事をしてるから、気持ちはおんなじってことだよな」
「ま、そういうことやな」