「……へ? それ、本当か!?」
「それなら、私の病院が忙しくなるってこともないからね。それがニュースになれば、私の幼なじみの病院の評判ががた落ちになることはないしね。これが一番の解決法だと思うけど……」
その裕二の考えに納得する三人。
確かに、そうだ。裕二の幼なじみである男は逮捕された。そのため、そこの病院の信用が一気にがた落ちになるのは間違いない。そうなれば、望達が働く病院に患者さんが流れてくるのは分かっていることだ。それで望達が大変になるのは目に見えているのだから。そうなると、望達も休む暇がなくなってしまう。それなら、裕二がその病院を買い取り、その病院までも裕二が院長としていれば、両病院にとっていいことであろう。
「ま、そういうことだよ。だから、病院はいつも通りってことかなぁ? とりあえず、君達は和也君の車で帰るんだね?」
「まぁ、とりあえずはそうだな」
「じゃあ、私は歩夢を連れて帰るよ」
「ああ」
裕二がその場から去ると、和也は感心したように言う。
「やっぱり、望の親父さんって凄いよなぁ」
「まぁ、そうなんだけどさぁ。ま、まぁ、本当の理由は、今は病院を買い取って大変かもしれねぇけど……後々、倍になって儲かるからじゃねぇのか?」
「まぁ、いいことをしていれば、自分に返ってくるってことだろうなぁ」
「そうだなぁ」
「さて、俺等も帰ろうぜー! 後、数時間もすれば、裕実も上がりだろうしさぁ、ひとまず、病院に帰って、一眠りして今日は裕実とどこかに行こうかなぁ? 望達もどこかに行った方がいいんじゃねぇのー?」
そう和也はにやけながら先に歩き始める。
そんな中、望は何も言わずに雄介のことを見上げる。
ただ望が見上げただけで、望が何が言いたいのかが分かったのか、
「望がどこかに行きたいって言うんやったら行ってもええで……」
だが、その雄介の言葉に目を座らせる望。
雄介はその意味に気付き、
「せやったな。俺が引っ張らなあかんかったって事やったわぁ」
「そういうことだ……」
望も歩き始めると、雄介は望の後ろから声を掛ける。