「ほんなら、望……今日はどっかに行こうか? そうやな、どこがええかなぁ? ドライブなんかどうや?」
「俺はどこでもいいぜ……」
望は笑顔で雄介の方へと顔を向ける。
「ほなら、ドライブに行こ」
雄介は望の手を取ると、和也に追いつくように歩き始める。そしてすぐに和也の歩みへと追いつき、冷やかされたのは言うまでもないであろう。
そして一旦、病院の駐車場まで来ると、和也は部屋へと戻り、望と雄介は望の車で家へと戻って行く。
望はリビングにあるソファに座ると、大きな溜め息を漏らす。
「とりあえず、休んでからだな」
「せやな……俺は大丈夫なんやけど、望が疲れておるんやったら、休んでから行った方がええみたいやしな」
「ああ、悪いけど……そうさせてもらうわぁ」
望は眼鏡を外すとテーブルの上へと置き、目が疲れているのか目を擦る。
「ホンマ、今日は大変やったもんなぁ」
「ああ……。今まで俺達には色々とあったけどな」
「確かにそうやな」
雄介は望が座っている隣に腰を下ろす。
すると望はかなり疲れていたのか、雄介の肩へと頭を乗せ、すぐに寝息が聞こえてくる。
「ホンマに疲れておったんやなぁ」
そう雄介は独り言を漏らすと、望の頭を優しく撫で始める。
確かに昨日は大変な一日だった。
特に望は昼間、病院で働き、夜は夜で走り回り、流石に疲れてしまったのであろう。
そして無事解決し安心したのか、すぐに眠りについてしまったのかもしれない。
雄介も望が眠った直後に目を瞑っていた。
それから一時間後。
やはりベッドや布団で寝ているわけではない二人。寝心地が悪いのか、望は目を覚ます。
望がふっと気付くと、望の隣では雄介が寝ている姿が目に入ってきた。
望は久しぶりに雄介の寝顔を見たような気がすると、笑顔を見せる。
そんな雄介の姿にイタズラ心が芽生えたのか、望自ら雄介の唇に唇を重ね、微笑むと、
「たまには、こんなイタズラもいいよな?」