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ー決心ー62

「ほんなら、望……今日はどっかに行こうか? そうやな、どこがええかなぁ? ドライブなんかどうや?」

「俺はどこでもいいぜ……」


 望は笑顔で雄介の方へと顔を向ける。


「ほなら、ドライブに行こ」


 雄介は望の手を取ると、和也に追いつくように歩き始める。そしてすぐに和也の歩みへと追いつき、冷やかされたのは言うまでもないであろう。


 そして一旦、病院の駐車場まで来ると、和也は部屋へと戻り、望と雄介は望の車で家へと戻って行く。


 望はリビングにあるソファに座ると、大きな溜め息を漏らす。


「とりあえず、休んでからだな」

「せやな……俺は大丈夫なんやけど、望が疲れておるんやったら、休んでから行った方がええみたいやしな」

「ああ、悪いけど……そうさせてもらうわぁ」


 望は眼鏡を外すとテーブルの上へと置き、目が疲れているのか目を擦る。


「ホンマ、今日は大変やったもんなぁ」

「ああ……。今まで俺達には色々とあったけどな」

「確かにそうやな」


 雄介は望が座っている隣に腰を下ろす。


 すると望はかなり疲れていたのか、雄介の肩へと頭を乗せ、すぐに寝息が聞こえてくる。


「ホンマに疲れておったんやなぁ」


 そう雄介は独り言を漏らすと、望の頭を優しく撫で始める。


 確かに昨日は大変な一日だった。


 特に望は昼間、病院で働き、夜は夜で走り回り、流石に疲れてしまったのであろう。


 そして無事解決し安心したのか、すぐに眠りについてしまったのかもしれない。


 雄介も望が眠った直後に目を瞑っていた。


 それから一時間後。


 やはりベッドや布団で寝ているわけではない二人。寝心地が悪いのか、望は目を覚ます。


 望がふっと気付くと、望の隣では雄介が寝ている姿が目に入ってきた。


 望は久しぶりに雄介の寝顔を見たような気がすると、笑顔を見せる。


 そんな雄介の姿にイタズラ心が芽生えたのか、望自ら雄介の唇に唇を重ね、微笑むと、


「たまには、こんなイタズラもいいよな?」

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