「ま、いいや……。とりあえず、お前は帰るのか?」
「そうだなぁ? 裕実と一緒に帰るかな? 裕実も今日は休みだろうしさぁ」
望は和也の言葉にクスリとすると、
「やっぱ、お前……裕実のことは好きなんだな。直ぐに裕実のことを考えるってことはさ……」
「当たり前だろー! 好きなもんは好きなんだからさー!」
今まで切なそうにしていた和也だったのだが、裕実の話題になった途端、声を上げ嬉しそうな顔をしていた。
「帰るんだったら帰れよ。俺は雄介が帰る頃に帰るからさ。マジで今回のは体力が家まで保ちそうにないしな」
「ま、確かにそうだな。 俺も二晩寝てなかったけど……家まで車運転出来るかなぁ? って感じだけど……望が居るんじゃ、裕実とイチャイチャ出来ないからさ、どっちにしろ帰るよ。休みの日の貴重な時間を無駄にはしたくないからな」
「なら、お前達がここに残ればいいんじゃね? 俺は雄介が帰って来るまで家でゆっくり出来るからよ」
「でも、望だって、家まで運転する体力残ってねぇだろ?」
「ああ、まぁ……そうなんだけどな。今はまだ寝てなくてテンションは高いけどさ、次いつ眠気が襲って来るか分からないからな」
「なら、俺が帰るよ。俺もまだ眠気が襲って来ないから、とりあえずは家まで保ちそうだしよ」
「そんなにしてまで裕実とイチャイチャしたいもんなのか?」
「そういうこと!」
和也はそう言うと、ロッカールームへと向かい着替え始める。
そのついでというのであろうか、和也は裕実へとメールをするのだ。
その時、望が急に大声を上げると、和也はまだ着替え途中だというのにロッカールームから飛び出して来るのだ。
「どうした? 望!?」
「あ、いやな……雄介の奴……確か、あの事故で腕を怪我した筈だったよな? それなのに、アイツを病院に連れて来るの忘れたなぁーって思ってよ」
「なら、雄介に連絡してみたらいいだろ?」
「ああ、そうだな」
望は携帯を取り出すと、雄介へと電話を掛けるのだ。すると望的には今日は雄介は学校だと思っていたのに、電話へと出た事に目を丸くする。