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ー決心ー109

「雄介?  学校は?」

「医者に……まぁ、新城なんやけどな。 新城先生にしばらくは安静にしとけぇって言われたし、今日は学校行かずに家に居ったんやけど、アカンかったんか?」

「ん? へ?  どういうことだ?  新城に何で安静にしてろ? って言われたんだ?」

「ん? あ、ああ……。俺なあの事故で腕を怪我したやろ? 望達と別れてから、歩夢に言われて直ぐに病院に行ったんやけどな。望達はそん時、手術室に入ってたやろ? せやから、ロビーに居った新城先生に診てもらったんや……それで、新城先生に言われてしばらくは安静って形で学校は休みにしたって訳なんやなぁ」

「って、俺に連絡一つもよこさなかったじゃねぇか」

「望達は忙しそうやったからなぁ、せやから、望達に気を使ったって訳やって……そいで、望から連絡来るのを待って訳や。俺の為だけに、他の患者さんに迷惑掛けたくなかったしな」

「そういうことか。なら、俺、今日は帰るな」

「ああ、ほな、待っておるな」


 そう言うと、二人は電話を切るのだ。


 そして望は和也の方へと顔を向け、


「和也ー、俺、今日は帰るわぁ。今日は雄介が居るみたいだからよ」

「ああ。今の会話聞いていたから大丈夫だぜ。ま、俺も裕実と一緒に帰るからよ」

「分かった」


 和也と入れ替わりに望はロッカールームへと入ると着替え始める。


 和也は裕実と待ち合わせをして部屋を出ると家へと帰って行く。


 望も同様に着替え終えると雄介が待っている家へと向かうのだ。


 寝てないとはいえ恋人に会えるというパワーは別腹と同じように体力だけは温存されているという事だろう。


 とりあえず望は家に帰ると、いつものように雄介の笑顔に迎えられる。


 だが今までと違うのは腕にギプスをはめている事だ。幸い利き腕の方ではなく左腕を怪我していたから良かったのかもしれない。


「大丈夫か?」

「まぁ、全治一カ月やって言うてたから、大したことはないやろ?」

「そっか……。あん時、俺が覚えてりゃ、俺が診てやってたんだけどな」

「ま、しゃーないやんか……あの事故でみんな忙しかったんやからな」

「……で、担当医は新城にするのか?」

「そりゃ、もちろん! 担当医は望がええねんけど、そないなこと出来るんか?」

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