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第2話

 その言葉と同時に、屋上の影に隠れていた何人かの男子が出てくるのだ。


 それにギョッとする僕。


 そりゃ、当たり前だろう。さっきのあの言葉と同時に数人の男子が出てきたのだから。そして聴こえてきたのは、目の前の君のため息。そう、目の前の君というのは、こう、安心したようなため息を吐いていたのだから。


「流石にさー、男が男に告白するってこと、フツーに考えて有り得なくない? 今回みたいに罰ゲームじゃない限りは、告白なんてするわけないじゃん!」


 そう言いながら君は、顔を俯けてまで笑っていた。そうだ。きっとさっきから肩を震わせていたのは、笑っていたということなんだろう。だって、これは罰ゲームで僕に告白してきているのだから。


「なーに? 本気だって思ってた?」


 その子は僕よりも背が小さいからなのか、僕のことを見上げながら嫌味のように言ってくる。


 その瞬間、僕の初恋というのは終わったような気がした。


 そう、僕が本当に好きな子から告白されて舞い上がっていた結果というのは、もう最初っから振られたのと一緒なのだから。


 まあ、自分から告白して断られて撃沈するより、好きな相手に告白されて悪戯だったってオチの方が、心へのダメージっていうのは小さいのかもしれない。


 とりあえず僕はそう思うことにして、何人かの友達と屋上を去っていく君の背中を見ていることしかできなかった。


ーーーーーーーーーー


 僕がその男子のことを気になり始めたのは、高校一年生の時。


 相手の名前は『七海 春(ななみ はる)』。罰ゲームで告白してきた男子だ。


 七海君は、周りにはいつも友達がいるくらいの人気者だった。前の中学校から一緒に上がってきた友達がいるわけでもないのに、あの明るい性格、人懐っこい性格。そして人に懐かれそうな顔をしているのだから、誰も七海君を嫌う奴はいない。


 女子からも黄色い声や、遠目から見ている子たちがいるくらいなのだから。本当に、七海君っていうのは誰からも愛されるタイプなのかもしれない。


 僕も、その一人だ。


 だけど僕の場合には違う。ライクではなく、ラブな方だからだ。


 きっと僕の性格上、七海君の友達にはなれないような気がしていた。そう、僕の性格というのは、人懐っこくもなく、自分から行く性格でもないからだ。クラスの中では存在感がない人物の一人なのだから。いや、だけど特に僕は嫌われているってほどではない。むしろ、僕はバレンタインには七海君並みにチョコをもらっているくらいなのだから。


 そう、自分で言うのもなんだけど、容姿端麗な方ではある。


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