しばらくして、コンコンコンと三回ノックされてから、彼が入ってきた。彼はまだ悩んでいるような顔をしていて、脚にはホルスターを付けたままだった。
「さっきはごめん。でも、」
と真剣な話を始めようとする彼の目の前で、俺はさっきから自慰行為をしていた。
「あぁ、いいよ。お気持ち表明なんて、いらないから」
俺は彼のことなんか興味なさげに自分のを弄るのに夢中になっていた。
「……お前は、わかりやすいものが欲しいんだろ?」
ベッドに横たわる俺に覆いかぶさるように彼は詰め寄ってきて、彼の持ち前の冷徹に少し熱が帯びるのが見えた気がした。
「くれんの?俺に」
「あげない。そんなわかりやすくて単純なものは、君だって意味ないってわかってるでしょ?」
ここまで喉から手が出るほど飢えているものを目の前に差し出されて、それを目の前で捨てられるような真似をされて、俺は咄嗟にこの汚れた手で彼の首を絞めてしまった。
「……絞め落とすぞ?」
彼はあがいて、俺の手をその小さな手で引っ掻く。呼吸ができなくて、酸素を求めて開く口の、その口端から唾液が垂れる。あぁ、何とも官能的なんだろう。
「僕は……君、を……愛、して、る……」
「じゃあ、このままレイプされても良いよね!愛って、赦すことだから!」
って、彼のズボンをパンツごと下ろして、彼の股に自分のを腰を振って擦り付ける。発情しながら腰を振り続けていると、左胸に強い電流が流れた。
「あぁっ!!!」
思わず喘いだような声が出てしまった。俺は呼吸を整えるのにいっぱいいっぱいで、首を絞めている余裕はなかった。
「ごほっごほっ……ふふっ、電流で感じちゃった?」
彼は半分落ちかけている目で妖艶に笑った。
「殺す!!殺す!!絶対に殺す!!!」
と癇癪を起こして怒っていると、彼はそんな俺にふわりと近寄ってきて、俺のことを抱きしめる。
「でもさぁ、僕は見えにくくて複雑な愛情を君にあげたいんだ。それでも、殺したい?」
「何だよ。見えにくくて複雑な愛情って」
「知らなくて当然さ、君が教わってこなかったものだから」
そう俺の耳元で囁いてから、彼は落ちるように眠ってしまった。赤ちゃんみたいな顔して眠っている。その生意気な口に俺のを咥えさせたい。……俺はなりたくない大人に自ずとなってしまったのだろうか。