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第22話 はぁ、心臓に悪いよ……

彼は基本、仕事熱心な人間だから、家にいないことの方が多い。そんな時、俺は何をしているかと言うと、過激なAVを見てオナニーか、無様に人間が死ぬ映画を見て、馬鹿笑いしているか、のどちらかだった。そんな退屈な時間を過ごして、ふと窓の外に目をやると、このボロアパートの目の前にパトカーが止まった。俺は一気に目が冴えた。とりあえず、包丁を手に取り、玄関ドアに背を付ける。ご主人様と俺の愛の巣が血塗れになるのは、腸が煮えくり返るほど嫌だが、ご主人様と会えなくなることのがもっと嫌だった。そいつは手こずる素振りも見せずに、玄関ドアの鍵を容易くガチャっと開けた。そのドアの背後から飛び出して、包丁を突き立て……。


「イル、ただいま」


という聞き馴染みのある優しい声。俺は危うくあと数センチで彼を刺してしまうところだった。


「……お、おかえりなさい、ご主人様」


俺は決まりが悪くそう言うと、目に見えないスピードで包丁を何処か遠くに投げ捨てた。


「ふふっ、サプライズ!驚いてくれた?」


俺の気も知らないで。警官姿の彼は上機嫌で朗らかに笑ってる。


「はぁ、心臓に悪いよ……」


俺は安堵からため息が出た。あともうちょっとで刺しそうだったんだから。


「イル」


そう魅惑的な声で呼ばれて、彼にリードされるままその腕の中に収まった。


「どうしたの?」


「まだ、仕事の途中なんだけど、イルに会いたくなっちゃって……」


その可愛さに全身に電撃が走ったように殺られた。あの仕事熱心な彼が仕事よりも俺を優先してくれた。その事実が俺を昂らせた。


「じゃあ、その制服姿のまま、殺人鬼の俺に犯されてみる?」


そんなん、超エロいじゃん!一度でいいから、警官を従わせて、俺の前に降伏させてみたかった。そんな淡い夢を抱きながら、彼のベルトを外した。


「イル……!僕のズボン、緩いから……」


彼の細くて薄い腰では、そのズボンは引っかかることなかったが、太ももに付けているホルスターでかろうじて下まで下がらずにズボンは歪な形で彼にくっ付いていた。彼のパンツがチラッと見えている。全部見えないところが逆に俺の心に火を付ける。


「レイラ……はぁ、レイラ……」


彼の身体をまさぐりながら、彼の匂いを嗅ぎ、無意識に彼に腰を擦り付けていた。


「イル、ストップだ!」


彼の命令に俺の行動はピタッと止まる。けれど、俺のそそり立ったそれは彼の腹を押していた。


「……つらい。抜きたい」


呼吸を乱して欲望に囚われた俺は、酷く血走った目をしていたと思う。


「わかったよ。僕が抜いてあげる」


そう言って、彼は俺をソファに座らせると、その足元の床に彼は正座するように座って、俺のズボンをパンツごと下ろしてきた。


「わぁ!イルのおっきいね〜!」


驚いたリアクションをして、その小さな手で俺のを掴む。何だかとっても悪いことをしている気分だ。けれど、今更やめられなかった。


「レイラの顔が余計小さく見える」


そう言うと、彼は自分の小顔を自慢するように、俺のに顔を近づけてきて、長さ比べをしていた。彼の顔の縦幅よりも俺ののが長かった。


「ふふっ、気持ちいい?」


彼は俺のを上下に両手を使って擦りながら、そう聞いてきた。その吐息が俺のにかかっていて、身を捩りそうになった。


「気持ちいいよ。ありがとう」


あれだけ恐れていた警官が、今、俺のを抜いてくれている。その事実だけでイキそうだ。


「凄い……!我慢汁いっぱい出てる……」


そう呟く彼はまるで朝顔の観察をする小学生のようだった。好奇心が籠った目をしていた。


「レイラ、咥えろ」


俺は我慢の限界で、彼の頭をグッと俺の方へと動かしながらそう命令した。彼の小さな口が、俺の先っぽを咥えた瞬間、俺はその口内に精液を流し込んだ。ごくん、彼の喉がなった。


「ふふっ、いっぱい出たね!」


どう考えても嫌だっただろうに、彼は俺の精液を飲み込んで、そう柔らかく微笑んでくれた。そんな俺を喜ばせるための自己犠牲が、震えるほど可愛かった。


「やばい、抑まんない……!!」


彼が可愛すぎて、もっともっと彼が欲しくなってしまった。彼に触れたくなってしまった。彼の小さな口内がいっぱいになるほど精液をたっぷり注ぎ込んだのに、俺はまだまだ注ぎ足りなかった。


「イル、我慢して。良い子だから、できるよね?」


といつもの冷静で大人びた彼に戻って、犬を躾ける飼い主のように頭を撫でた。


「うん……」


俺が自信なさげな返事をすると、


「よし、良い子だ!」


と俺に舌を絡めたキスをしてきた。彼がこんな積極的なキスをするなんて、初めてなので戸惑ってしまったが、その真意は舌を絡めた瞬間にすぐにわかった。


「おえーっ!俺の精液まっず!!」


その不味さにキスされたのにも関わらず、ものすごく萎えてしまった。今すぐ口を洗いたくてしょうがない。


「ふふっ、お留守番頼んだよ」


彼は口を軽く濯いでから、そう言ってまた仕事へと出ていってしまった。俺はしばらく彼の可愛さを脳内反芻して、賢者タイムでぼーっとしながら軽くニヤけていた。

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