「前回は二人きりで山中遭難デートだったのだけど、進展は無かったわ。だからね、今回こそ成功させたいの! 朝陽くんを私で独占したい! イチャイチャしたい!」
私たちは一歌お嬢様のお言葉に『はぁ』と返すしかなかった。
「今回は朝陽くんを眠らせた後、私と二人きりで無人島に置いてきてちょうだい! 作戦名は『過酷な無人島で男女イチャラブ大作戦』よ!」
「しかしお嬢様。九条家所有の無人島ともいえど野生生物がたくさんおりまして、危険ですかと……」
無人島と聞いてすかさず待ったをかけたのが使用人のトップ、家政婦長。しかしお嬢様は聞く耳を持たない。
普段はワガママ言わないのに、あの男が絡むといつもこうだ。次第に家政婦長は諦めたようにこう言った。
「……わかりました。お嬢様に危険が及ばぬよう、邪魔しないところで最大限警護致します」
「話が早くて助かったわ。それじゃ貴方は船の手配を、貴方は島の手配を、貴方は食糧の輸送を頼むわ」
「かしこまりました(まーたいつものか)」
「仰せのままに(いい加減にせえよ?)」
「はよくっつけや(はよくっつけや)」
◇
「ドローン班。異常なしであります!」
「食糧輸送班も滞りなしに機能してます!」
「お嬢様の体調も良好です! ていうかはよくっつけや」
「うむ。問題はお嬢様の方ですね」
お嬢様告白大作戦も今回で三回目。お嬢様でもあの男からでもいいので、いい加減告白してさっさとくっついてもらいたいものだ。
誰がどう見ても両思いなのだから。