朝陽くんが住んでいる家の合鍵を忘れてしまったわ。まあ、忘れてしまったものは仕方ないわよね。
静音無振動ドリルで穴を開けて侵入しましょうか。ちょうど建物が老朽化してるし、軒下から入れそうだわ。
◇
上手く入れたわ。
ちょうどカーペットがあるし、穴を隠しておきましょう。
それにしても、朝陽くんがベッドで毛布もかけずに寝てるわね。いくらもうすぐ夏とはいえ無防備じゃないかしら?
私が居ないとダメなんだからもう。仕方ないわね。毛布をかけておきましょう。
ふぅ……流石に穴を掘り進めるのは大変だったわ。そうだ。着替えも用意してることなんだし先にシャワーをお借りしましょう。
◇
ふぅ……さっぱりしたわ。
不満があるとすれば、お風呂場に所々細かい汚れがみえることかしらね。今度掃除しに押しかけようかしら。
それと、これから度々来ることになるわけだし、空いてるスペースに私用のリンスを置いておきましょう。
さて次はお片付けをしましょうか。
お酒の空缶やら、大学のレポートやらがあちこちに散らばってるわね。こう見えて掃除苦手なのかしら?
仕方ないわね。まったく、私が居ないとダメなのだから、片付けておきましょう。
◇
ふう。今日も夜遅いし疲れたわ。寝顔だけ撮って帰りましょうか。
◇次の日
「一歌大変だ! 昨晩、誰かが俺の家に不法侵入してきた! なんか部屋が異様に片付いてるし、床に穴空いてるし! 風呂場に知らないリンスもあったし!」
「何ですって!?」
朝陽くんの聖域を汚した身の程知らずのおばかさんは誰なのでしょう。九条家を敵に回したこと、盗人に恐怖を植え付けないとね。
「話は分かったわ! この話、九条家に任せてちょうだい! 家政婦長、急なお願いでごめんなさい。今すぐ調査部隊を朝陽くんのアパートに派遣してほしいの!」
「仰せのままに」