道中、ラーメンの自動販売機があったのでそこに寄ってみた。
「わたくし、こういうの初めてですわ!」
「使用人達が居たら中々できない経験だよな」
「これが自動販売機ラーメン……画面越ししか目にしたことなかったけど、美味しそうだわ!」
「是非とも自販機を買って帰りたいですわねお姉様!」
「……金持ちはスケールが違うや」
◇
その後、休憩がてら道の駅にも行ってみた。
「知らないお土産がいっぱいありますわね!」
「使用人達のお土産何がいいかしら」
「二人とも、なんかあっちで猿のショーやるってよ!」
それは、猿が竹馬をしたり、輪を通ったりなど、伝統的な猿まわしの技だった。
「昔、お爺様に連れられて、猿まわしを見たことがあったのだけど、その時は人との合わせ技で、それはそれで迫力があった記憶だわ」
「なにそれ、それも見たいな」
「今度、お爺様に連れてってもらいましょう! 恋人同士で」
「なんか含みのある言い方してない?」
◇一方その頃。使用人達サイドは。
「家政婦長! お嬢様方を見失いました!」
「トラックに飲まれてしまったが、一歌お嬢様大丈夫かな?」
「クッ、こうなるんだったらGPS付けていれば……」
「とにかく、当主様に連絡を!」
◇九条家内で大騒ぎになっていた。
◇竹田朝陽視点
「また変わるわよ朝陽くん!」
「さっき『毎日運転している使用人達凄いのね』やら『運転はもうこりごりよ~』とかなんとか言ってなかった?」
「忘れて。さっきは醜態晒しちゃったけど、今度は高速道路なんて乗らないわけだし、いけるはずよ!」
「まあ、さっきは酷な状況だったからな。あのトラック許さん。運転手に一発ぶん殴っても許されるだろ」
「そんなに怒らなくても、ドライブレコーダーにちゃんと犯行が写ってますから、きっとなんとかなりますわ」
俺の心配も杞憂に終わり、順調に田んぼ道を進んでいく。
「水族館まであと1キロだってよ!」
「もう少しね! ラストスパート、全力フルスピードよ!」
「おい待て、スピード出し過ぎ!」
このあと、一歌はスピード違反で警察に切符を切られた。