妹が、来た。
おじさんおばさんと、来た。
遊園地に、来た。
「え? 何しに?」
「何って、伏人、遊園地だよ。遊びにに決まってるじゃないか」
おじさん、
「え? 何しに?」
スルーしておばさん、
「え? なんだって?」
おい、そっちが主人公スキルを使わないで。
そして、我が妹、
「え、えーと、」
晶が戸惑っている。
普段であれば、あんなにメンチきられたら、晶なら睨み返す。
が、俺が妹と言ったせいで、対応に困っているようだ。
しかも、俺が以前ミコは心の病にかかってた話をしてたから、より困っているのだろう。
「晶」
晶と美心の肩が跳ねる。なんでミコも?
「いつもどおりでいいよ」
そう言うと、晶はギザ歯を覗かせる。
そして、ミコの方を向くと、
「何か用スかあ?」
ギザ歯を見せつけ笑う。
ミコはぴゃっと声をあげ、俺の後ろに逃げる。
「ミコ、何しに来た?」
「あ、あの、悪魔から兄さんを助けに……」
どうみても、今は、俺が助ける立ち位置なんだけど。
というわけで、俺はミコを前に立たせる。
ぴゃっと声をあげミコが後ろに回り込もうとするが、そうはトンカツおろしがねえ。全力でブロック。
正面に晶。
「ぴゃっ」
ミコが怯えている。てか、ぴゃってなんだ。
正面に手を広げたギザ歯悪魔、もとい彼女。
ミコは「貴様のどこにそんな力が!?」と言いたくなるくらいの最終回二話前主人公力で俺の拘束を抜け出し、逃げようとした。
しかし、あまりにも慌てすぎたのか
「ぴゃっ!」
躓き、バランスを崩す。
慌てて手を伸ばす俺。
と、晶。
二人でミコを支える。
「「大丈夫か?」」
ハモった。
はずい。
晶も顔が赤い。
そして、ミコも。なんでだよ。
そして……
「ひゃあ~~~」
晶に抱きついて撫でられているミコ。
勝負は一瞬だった。
庇護欲掻き立てる小動物系妹ミコにとって圧倒的世紀末覇者系ギザ歯彼女は従順にならざるをえなかった。
シンプルに言うと、惚れたようだ。
「兄さんよりかっこいい!」
と言われた泣きそう。
で、
「で、でも! 兄さんのほうが好きよ!」
と言われた泣きそう。
なにはともあれ、チョロいもうとミコは、晶に靡いた。
ギザ歯美人と小動物妹がニコニコふれあっているのはとても尊い。
そして、妹がおじさんたちとお昼を買いに少し離れた時、
「ありがとな、妹」
「いや、かわいいが過ぎるな」
「仲良くなれそうでよかったよ」
「うん……あ、あのな」
「なんか気になることあったか?」
「い、いや、あの、アタシも……妹ちゃんに負けないくらい、おまえのこと、その、好きだから」
めっちゃ照れてる。
それでも伝えたかったと。
なるほどなるほど。
はあ~。
尊死。