【来馬晶視点】
ミコちゃんがハンバーガーセットを持って、ニコニコ顔で帰ってきたかわいい。
「来馬さん! ポテト食べる? ちょっとあげる!」
かわいいなあ!
「に、兄さんには……?」
小角が突然失ったミコちゃんに頼られる存在という立ち位置に動揺隠せないまま尋ねる。
「もう、兄さんは……はい、あーん」
あー!
あー!
……まだアタシやったことないのに。
くそう、うまそうに食べやがって……。
「来馬さん、あーん」
わーい!
妹からのあーんだ!
うまいよう。
小動物みたいに小さい口でちまちまハンバーガー食べてるかわいい。
永遠に見れるな。
で、食べ終わるまで見つめつづけた後。
「で、結局なんでついてきたの?」
「兄さんに、週末なにするの?って聞いたら『ハーレムつくるかワルキューレするかな……』って言われて。ワルキューレは分かんないけど、ハーレムは良くないなと思って」
「お前、妹相手にもそういうこと言ってんのか。てか、ワルキューレするってなんだよ」
「神に逆らうんだよ」
「だと思ったよ。お前じゃ無理だ」
「やってみなきゃ、わかんねえだろ」
「歴史に名を残してから、またのご来店ください」
「くそう! また来ます!」
アホみたいないつものやりとりをぽかーんとした表情で見てるミコちゃん。
「いつも、こんな感じ?」
「まあ、いつも、かな」
小角が答えながらこっち見る。
「た、たまには真面目な話もしますけどね!」
小角のおじさん達に弁明するように言ってしまう。
いや、いつもこんなはどうなんだよ。
「こんな楽しそうな兄さん初めて見た……」
ミコちゃんが呟く。
え? マジで?
「そうだね。ミコちゃんにはとびっきり優しいし、私達にも大分気を遣ってるから、こんなリラックスして楽しそうな伏人は珍しいな」
「なに言ってるかは分からなかったけど、夫婦漫才みたいでポンポンしてたわね」
あ、そうスか、マジすか、ふーん。
何故かみんながアタシを見てる。なんかニヤニヤしてる……?
顔真っ赤にした唯一アタシを見てない小角が呟く。
「ギザ歯……見えてるぞ」
知らないうちにアタシが先にニヤニヤしてたらしい。
仕方ないだろ!
うれしいだろ!
あー、多分今小角くらい顔真っ赤だろうな。