目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第26話 最強ギザ歯彼女は伝えたいんですケド!

【来馬晶視点】



観覧車。


観覧車だ。


観覧車は遊園地のアトラクションだ。


観覧車は、で、デートの定番だ。


アタシたちはカップルだ。


つまり、付き合っているわけだ。


そんな二人が観覧車に乗ることに何の違和感もないわけだ。


ならば、何故アタシたちはただただ見上げてるんだ。


もうちょっとで日が沈み始める。


小角は妹ちゃんの都合であと少ししかいられない。


「よっしゃ、行くかオラア!」


アタシが気合いを入れる。


「お、おう! いったらあ! オラア!」


オラオラ言いながら、乗り込んでいく。


そして、


「……」

「……」


対角線で静まり返るアタシたち。


あー! 無理ー!


狭い個室じゃん!


逃げ場ない個室じゃん!


恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!


今、思えば、基本二人きりの時は、

学校の屋上か帰り道、朝のランニング。


個室で二人は、はじめて……


「え? どした?」


小角が聞いてくる。


「あ、いや……こういう狭いとこで二人は初めてだなあ、と」

「あ……うん」


……


いや、「あ……うん」じゃねーよ!


照れるなよ! こっちも照れるわ。


そうしてアタシたちは観覧車前半戦を完全なる膠着状態で終えた。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?