「それでは笑いで場も温まって来た頃合の様なので、そろそろファンタジーらしき物語を始めましょうかね♪」
「まだ物語始まってなかったのかよ。しかも
そう言いながらしゃがみ込み、クソメイドは俺の右頬を
「もきゅ」
「がるるるるっ」
「くくくっ」
さすがは元魔王様とも言うべきか、ドラゴンを前にしても一切の動揺を見せず、威風堂々の井出立ちで俺とドラゴンの間で立ち塞がっていた。
(まさか今更になって、このクソメイドが俺を助けてくれるって言うんじゃ……)
その姿はまるで俺を庇うかのようにも見えてしまうのだが、そんな期待を込めた錯覚も数秒と持たずして、次のクソメイドの言葉により速攻で裏切られてしまうのだった。
「あの~、今後ワタシの店先で
……たぶんその井出立ちが救いの姿に見えたのは、錯覚の類だろう。またそのように見えたのは俺が
「も、もきゅー」
「が、がぁー」
そしてまるでクソメイドの言葉を理解したかのように、二体のドラゴン達は済まなそうに彼女に対して頭を下げていた。
「マジかよ。ドラゴンが頭下げて謝ってる。あのクソメイドほんとに元魔王なのか。ってか、俺の役割が『背景』どころか、いつの間にか『街のゴミ』へとランクダウンしてんのは、もはや気のせいなんかじゃないよな?」
「人間ヨ……」
だがそんな俺の
「えっ? この声はどこから……って、まさかコイツからか?」
俺は既に理解していたのだが、物語の摂理的に嫌でもオーバーリアクション気味に驚きの声を上げながら、目の前にいるドラゴン達に目を向けた。……じゃないと今後俺の出番が減らされるだろうと、物語に住む登場人物としての危惧する生存本能的行動だったのかもしれない。
「もきゅもきゅ♪」
「ソウダ。我ノ声ダ」
頭に乗っている赤い子供ドラゴンが『もきゅもきゅ♪』っと鳴きながら、黒いドラゴンの頭をペチペチと叩くと同時に、乗っているドラゴンごと俺の方へと顔を近づけてくる。
「コイツら人間の言葉まで理解してるだけじゃなく、ちゃんと喋れるのか!?」
「ふふふっ。何せドラゴンだからな。人間のような下等生物の言語なんぞ、我々もしっかりと人間の子供に交じって勉強すれば造作もない事よ!!」
そんな俺のセリフに対する補足説明は、何故だかドラゴンからではなく
「何でアンタが代わりに喋ってんだよ。クソメイドもドラゴン種族なのか? そしてドラゴンも子供に交じって人間の言葉覚えてやがったのかよ……」
だがそんな俺の呟きなんぞ最初からコイツらの耳に届いていないのか、まるで
「あの~度々すみませんが、漢字交じりのカナ表記だと読者の方々から読みづらいと次話から敬遠されてしまうので、
「はぁ!? そんなのできるわけねぇだろうが……ってか、物語の登場人物なのに
(そもそもそんな小説今まで見たこと無い……いや、ごめん。これ書いてる作者の野郎、結構この文章スタイル取り入れてやがったわ。もうほぼ作風が全部一緒一緒っ! もう制作手抜き感甚だしいわ!!)
クソメイドのあまりにも物語の摂理を無視した表現に対し、俺は思わず心の中でそんなツッコミをしてしまう。
「もきゅもきゅ♪」
「心得タ」
「何かすみませんね~」
「……しかもできんのかよ。なら最初からそれで喋りやがれよ(ぼそりっ)」
だがまるで俺の言葉を真っ向から批判したいかのように、そこのクソメイドが頼めば何でもできるらしい。きっと本来俺に授かるべきチート能力が、
「ゴホン……は~い、どもどもぉ~♪ ワテの名は『ジズ』言いますねん。以後よろしゅうな背景の兄さん!」
「はぁ~~~っ!? そ、その
俺はいきなり目の前のドラゴンの口から関西弁が飛び出したことに大層驚き、動揺を隠せずにいた。まさかまさかカナ表記から関西弁になろうとは……誰が夢に見たことだろうか。
「ま、それも
「……そんなの知るかよ。そもそも
俺はまだ物語も序盤なのに即行でネタバラシを始めたクソメイドに対して、そんな苦言を示すのだったが、見事なまでのクリスクロスで入れられ反撃されてしまう。
「いやいや外注とか、なぁ~に
「もきゅきゅ~♪」
「おや兄さん、挿絵が無いんでっかぁ~? そりゃツライでんなぁ~♪ ま、背景やさかい、それも仕方ありまへんなぁ~(笑)」
「ま、マジかよ。そんな理由で俺の挿絵が導入されないわけ? なんだか俺だけ嫌にハブられてんなぁ~、なんて内心思ってたどさ……とほほっ」
聞きたくない制作秘話を聞かされ、俺の
常にアニメ化した際の