目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第16話

※若干の性描写あり


 隣の家に住んでる人のこういう行為が聞こえて来るということは、確実に昨日自分がシていた行為も聞こえていたことになる。


「マジか……」


それを思った途端ため息を漏らす俺。だって今初めて気付いてしまったのだから。そう、今まで隣に誰もいなかったから気付くことが出来なかったのだから。


「ま、男なのだから、気にしないでもいいか……だって、当たり前なんだしなぁ。寧ろシない方が不健康なんだし……」


 そう前向きに考えて再びDVDを付ける。


「ん? ちょっと待てよ……。人の声が聞こえて来るってことは、俺が聖修のDVDを見てる事も知ってるってことなのか!?」


 んー……今迄、隣りに住人がいななくて気付かなかった事だったのだけど、隣の音が色々聞こえて来るのが、今回の事で分かってしまった。こうなると色々と音は控えなければならなくなってくる。そう隣りの家に色々な生活音が聞こえてしまうからだ。いや、生活音の方は全然構わないのかもしれない。だってそれは人が生活していく上で、出てしまう音なのだから。ただその生活音以外の音を控えた方がいいという事だろう。例えばスピーカーから聞こえて来ている音とか……。ま、俺の場合にはその音さえも日頃から気を遣っているのだから、それ以外はきっと生活音であるのだから関係ない所なのかもしれない。


 勿論、一人でスる時だって声を抑えてやらなければ確実に聖修に聞こえていることになってしまうって事だ。


 聖修みたく一人でモノを扱くだけなら恥ずかしくはないと思うのだけど、俺の場合には中に玩具や指を入れなければイけない。 そして絶対的に声を上げることで、気持ち良くなれているのは事実だ。


 そうなると、もう二度と一人でそういう行為が出来ないということなのであろうか。


 いや少しだけテレビや音楽の音量を上げれば、多少は隣には音楽かテレビでも見ていると思わせることが出来るのかもしれない。


 その自分の提案に安堵の溜め息漏らす俺。


 そうだ! いいことを思いついた。隣りに自分の声が聞こえてしまうのなら音量で誤魔化せばいいという事だ。これなら今迄通り一人でシて声を出しても大丈夫であろう。


 隣りに聖修が引っ越して来ただけで色々と問題が起きているような気がする。


 昨日から聖修のことについて考え過ぎて疲れてきた。


 有名人が隣りに引っ越して来たことは嬉しい筈なのだけど、問題や秘密ごとが増えたような気がするからだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?