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第37話 ※性描写あり

 そう納得していると聖修は俺が着ているTシャツを裾から捲り上げてきた。


 そう今日は仕事が休みになってしまったのだからYシャツではない。部屋着のままでいた俺。


 そう部屋着でいる時の俺というのはTシャツに短パン姿だ。家にいるんだからオシャレ着でいたって仕方がないだろ? それに聖修が家の中に入って来たのだってハプニングに近いんだからさ、今日は部屋着で勘弁っていう所なのかもしれない。それに部屋の中なのだから自分が楽な格好でいい訳なのだから。だからといって俺は裸でいたりはしない。今の聖修のように訪問者だって少なくはないからだ。宅配便だって来るし、近所のおばさんがたまにご飯を持って来てくれるし、だから俺はいつでも訪問者が来てもいいように出れるような格好をしているっていう事だ。男の人は部屋の中だとわりと裸のままでいる人が多いみたいなのだけど、俺の場合には部屋の中でもTシャツと短パンでいる。今は夏だから短パンなんだけど、これが冬になるとジャージにトレーナーとかスウェットでいる事が多い俺。


 ……はぁー、しかしTシャツじゃ、ムードも減った栗もない……。もうちょっと気が利いた服でも着ておけば良かったかな? って、男の俺にそんな服っていうのか、可愛い服とか着ろっていうのかい!! なんて自分が心に思ったことを自分でツッコミを入れてしまう。なら、ある意味、部屋着の方が無難か……という結果が出てしまう。


 ……ま、Tシャツが無難って事なのか……。あ、いや……普段から着ているスーツの方が良かったかな? って、また変な事を考えてしまっていた。スーツも汚れたり皺になったりしたら後でクリーニングとか出さなきゃなんないし……。まぁ、男同士だったらそういう事は気にしなくていいのかな? ま、せめて勝負下着とか履いてたら良かったのかな? 今時、そういう事の為に勝負下着なんか履く女性とかっていうのはいるのかな? ま、そこはいいか……とりあえず今回の事はいきなりの事だったんだしさ……それに男っていうのは好きになったら体をも求めるもんなんだしね。


 そんな馬鹿なことを考えていると、いつの間にか聖修は俺の体に舌を這わせていた。


 首筋や鎖骨の時とは違い今度は範囲が広がっている。そうシャツを捲られている状態なのだから鎖骨や首筋はもう舐めることが出来ないのだけどシャツを捲られたことによって確実に舐められる範囲が広がったということだ。


 胸の辺りからお腹や脇腹と……今度は体までビクついてきたような気がする。


 これを感じているというのであろうか。 くすぐったいとはまた違う感じだ。きっと、これが気持ちがいいという感覚なのであろう。


「ぁ……ふぅ……」


 それと同時にさっきとは違う感じの声も上がってくる。


 咄嗟に俺はもう声が出ないようにと手で口を抑えてしまっていた。


「私的には、尚のそういう声も聞きたいんだけどな……。だって、私だけしか聞けない声だからね……」


 その言葉になのか、それとも聖修の声になのか分からないのだけど、体にゾクゾクとした感覚が走ったのが分かった。


 流石は歌手。本当に声も高くて色っぽい。いやきっと普段聞いている聖修の声ではないのかもしれない。聖修だって、こういうことをしているのだから、いつも以上に艶っぽい声が出てしまっているっていう事だろう。


 だから俺は体が勝手に反応してしまったのかもしれない。


 そんなこと言われたって自分からこの手を外すことは出来ない。そりゃ、勿論、恥ずかしいからだ。


 でも聖修に要求出来るわけもなく、やっぱり手は口のままだった。


「ま、仕方ないか……でも、今度からは手で口を抑えるのは無しだよ……。また、そういうことをした時は尚の手首縛っちゃおうかな?」


 ……って、さらりと怖いこと言ってますけど……。手首を縛ってしまったら、そりゃ、声とかって、聖修に丸聞こえじゃん……。あ、いや……それが聖修にとっていいことなかのか……んー、でも、俺的には絶対に声を聞かせるなんて本当に恥ずかしいことだからっ!


「それとも、もう、今からでも縛ってしまう?」

「……へ?」

「でも、縛っちゃうと私の首に手を回すとか出来なくなっちゃうけどね……。あ、ま、今日、いきなり、私の首とかに腕を回すとかって出来ないと思うから別に手首を縛ってしまっても大丈夫って所かな?」


 ……あー! それだけは!! 余計、恥ずかしくなりそうだ。完全に聖修にされるがまま、でも確かに聖修の言う通り、今日は初めてで聖修の首に腕を回すことなんて出来るはずもない。なら、いいのかな?


 でも気づいたら聖修はもう既に何か紐ような物を持っていて、俺の手首を縛ろうとしていた。しかも慣れた手つきでだ。


 ベッドと繋がれてしまった俺の手首。腕を完全に上げられた状態で縛られている。


 これである意味抵抗さえ出来なくなってしまっていた。本当に聖修にされるがままの状態になってしまったという事だ。

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