目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第61話 ※性描写あり

「ぁああん!」


 痛みの中に気持ちいい波も押し寄せてくる。痛い……気持ちいい……どっちが今は正解なんであろう。それさえも分からなくなってきているということは、きっと気持ちがいい方が優勢なのかもしれない。


「ご、ゴメン……聖修……こんな俺で……」


 何でか急に聖修に謝り始めてしまっている俺。


 何で謝っているのかは分からないのだけど、でも聖修に謝らなくてはならないような気がして俺は聖修に向かい謝り続けていた。


「……へ? どういうこと!?」


 ……そうだよな。急に謝られたら、そうなるよな?


 でも俺にも良く分からないというか……男がこういうことをやられて気持ち良くなってる姿を見られているのが、いたたまれないっていうのか謝りたい気持ちになってしまったっていうのが正解なのかもしれないという事だ。


「あ、いや……こんなファンがいてゴメンっていうのか……」

「別に……そこは関係ないでしょー。だって、私が君のことを好きになったんだからね。好きな人がどんな人であろうと好きなのは好きなんだから仕方がない。って言ったらいいのかな? んー……例え、変な人であっても好きになったんだから、どんな人であろうとそれを受け入れることが出来るのが恋人になれる資格があるっていったらいいのかな? ま、例外はあるけどね……犯罪者級の悪い事をしていなければ、どんな人でも好きになれるっていうのが恋人だと思うのだけど……」

「……へ?」

「私は本当に尚のことが好きだから、どんな尚でも受け入れるって言ったらいい?」


 そんな聖修の言葉になんかホッとする。


 だって俺は今迄確かに恋人なんて出来たこともないけど、恋人ってそういう風に思える人が恋人なんであろうなって思えるからだ。そう聖修が教えてくれたようなもんなのかもしれない。


 ……うん、きっと、聖修の言う通り、恋人っていうのは、例え自分と思っていたイメージが違ったとしても、それさえ受け入れられるような寛大な心をもっていられなきゃ恋人の資格なんてないっていう事なんだろう。


 そうだ! 俺の方が勘違いしていたのだ。


 さっきの聖修の言葉で、俺は体の力を抜く。


 今迄、完全に聖修が俺の事を好きだってことを疑っていたという事だ。でも、今の言葉で本当に聖修が俺の事が好きな事が十分過ぎる程分かった。


 別に男同士の恋愛に少女漫画のようなラブストーリーは望んではいないけど、でも今の俺には今さっきの聖修の言葉は十分過ぎる程だ。


 いや今の俺というのは少女漫画の主人公だという事に近いのかな?

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?