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第5話 :コロセッオ改修 1. 改修計画の発表



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エミー・フォールブックが「コロセッオ改修計画」を正式に発表した日、フォールブック領の未来を切り開く大きな一歩が踏み出された。その壮大な構想は、蒼鷹騎士団やルージュロゼリアの活躍を支えるライブ会場を領内に作り上げ、領民たちに新たな希望を与えるというものだった。



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1. 計画の背景


「コロセッオ」は古くから騎士たちの剣技の鍛錬場として使われてきた。巨大な石造りのアーチと円形の構造を持つその施設は、広大なスペースと頑丈な設計で知られていた。しかし、騎士たちの訓練以外の用途には使われることがなく、近年は一部の領民から「もっと有効に活用できないのか」という声も上がっていた。


エミーはそんな声に応えるべく、コロセッオを領地全体の文化と経済の中心地に変える構想を練り上げていた。そして、その計画を実現するためには、領民全員の協力が必要だった。



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2. 会議室での発表


その日の朝、公爵家の会議室にはフォールブック領の重要人物が集められていた。蒼鷹騎士団の団長レオンをはじめ、ルージュロゼリアのリーダーであるリリアン、領内の職人たち、文官たち、さらには商人の代表者たちも顔を揃えていた。彼らの間には期待と不安が入り混じった空気が漂っていた。


エミーは壇上に立ち、大きな設計図を広げて語り始めた。

「皆さん、このコロセッオを鍛錬場からライブ会場へと改修する計画を提案します。」


その言葉に、会場が一瞬ざわついた。驚きの声を上げる者、考え込む者、それぞれの反応が見られる中、エミーは続けた。


「蒼鷹騎士団とルージュロゼリアのパフォーマンスをこの場所で披露し、領民たちや訪問者に楽しんでもらうだけでなく、領地全体の経済を活性化させることを目指します。」


彼女の言葉は、参加者たちに少なからず衝撃を与えた。特に文官の中には懸念を抱く者もいた。



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3. 懸念と説得


最年長の文官グレゴリーが立ち上がり、厳しい口調で質問した。

「お嬢様、確かにこの計画は興味深いですが、現実的に考えて課題が多すぎます。資金の調達、工事の進行、さらには鍛錬場としての機能を維持する方法について、具体的な案はあるのでしょうか?」


エミーは一瞬のためらいも見せずに答えた。

「ご心配はもっともです。しかし、計画はすでに練り上げています。まず、改修中も騎士たちが訓練を続けられるよう、仮設の訓練場を別の場所に設置します。そして、改修費用はこれまでの交易で得た収益を活用し、不足分は今後のライブ収益で賄うつもりです。」


続けて彼女は、コロセッオがライブ会場として完成した後の利益について説明した。

「完成後は領外からの訪問者も増え、経済が大きく活性化するでしょう。さらに、この施設が領民たちの希望と誇りの象徴となることを私は確信しています。」


その具体的な説明に、会場の空気は次第に変わり始めた。文官たちの表情にも理解の色が見え始め、職人たちは設計図を興味深そうに覗き込んでいた。



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4. 騎士団と職人たちの決意


次にエミーは騎士団と職人たちに向けて語りかけた。

「蒼鷹騎士団の皆さん、ルージュロゼリアの皆さん、そして職人の皆さん。この計画を成功させるには、皆さんの協力が欠かせません。」


すると団長のレオンが立ち上がり、力強い声で答えた。

「お嬢様、俺たちは鍛錬場を使ってきた者として、この改修に協力するのは当然です。それに、この場所が俺たちの新しい舞台になるなら、それを自分たちの手で作り上げるのもまた誇りです。」


職人たちも彼の言葉に影響を受け、代表者が進み出て答えた。

「お嬢様、このプロジェクトは領地全体を良くするためのものです。我々も力を尽くしましょう。音響設備や照明の設置、観客席の改修など、全力で取り組ませていただきます!」


その言葉に、エミーは安心したように微笑み、深く頭を下げた。

「皆さんの協力に感謝します。一緒にこの領地を新しい時代へと導きましょう!」



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5. 領民たちの反応


計画が発表された翌日、コロセッオ改修の噂は瞬く間に領地中に広がった。市場や広場では、人々がその話題で持ちきりだった。

「ライブ会場にするなんて、そんなことが本当にできるの?」

「蒼鷹騎士団とルージュロゼリアがここでパフォーマンスをするなんて、夢のようね!」


領民たちの間には期待と興奮が広がり、コロセッオがどのように生まれ変わるのか、誰もが興味を持つようになった。



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希望への第一歩


こうしてコロセッオ改修計画は正式に始動した。エミーの情熱と指導のもと、騎士団、職人、文官たちが一丸となって新しい挑戦に取り組むこととなった。このプロジェクトは、フォールブック領の未来を象徴する希望の光となるだろう。



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