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第5話:コロセッオ改修 2. 改修工事の開始

 コロセッオの改修計画が正式に発表されると、領地全体が活気に包まれた。蒼鷹騎士団とルージュロゼリアの初ステージを目前に控えたこのタイミングでの改修工事は、領内外からの注目を集める重要なプロジェクトだった。エミーの指示のもと、騎士団、職人たち、そして領民たちが協力し、改修工事がいよいよ本格的に始まった。



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1. 改修の第一歩


コロセッオの改修工事は、まず観客席の拡張から始まった。元々、剣技の鍛錬場として設計されていたため、観客が座るためのスペースは限られていた。エミーはこの施設を領内外からの観客を迎え入れるための会場にするため、観客席を3倍以上に拡張することを決定した。


改修に携わる職人たちは、エミーの設計図に基づき、石造りの席を増設しながらも元々のコロセッオの美しい円形構造を維持するよう細心の注意を払っていた。


「ここの石材は古いけど、しっかりしてるな。これなら新しい部分とうまく馴染むだろう。」

年配の職人が仲間に指示を出しながら作業を進める様子を見て、エミーは微笑みながら声をかけた。

「皆さん、素晴らしい仕事ぶりです。おかげで計画通りに進んでいます。」


観客席の拡張作業は順調に進み、職人たちの腕によって新しい石材がまるで元からそこにあったかのように調和していった。



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2. 音響と照明の導入


次に行われたのは、ライブ会場として不可欠な音響設備と照明の設置だった。これらは領内ではあまり馴染みのない最新の技術を要する作業であり、専門の技術職人たちが招かれた。


エミーは音響担当の職人と共に、コロセッオの中央で指示を出していた。

「この広い会場全体に音が行き渡るようにしたいんです。観客席の一番後ろでもクリアに聞こえるように。」


職人は真剣な表情で頷き、機器の配置を緻密に調整していた。

「お嬢様、中央に音響の集点を作り、石壁で反響させる形で音を広げるのが最適です。実験してみます。」


一方、照明の設置も同時進行で行われた。夜間のパフォーマンスにも対応できるよう、天井部分にライトを設置し、舞台を明るく照らす計画が進められた。初めて目にする大掛かりな設備に、騎士団の団員たちは興味津々だった。


「こんな技術があるなんて驚きだな。」

レオンが照明職人に話しかけると、職人は笑顔で答えた。

「これが完成したら、剣技の美しい動きがさらに映えるはずですよ。」



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3. 騎士団の協力


改修作業には騎士団の協力も欠かせなかった。団員たちは鍛錬の合間を縫って資材の運搬や作業の補助を行い、現場で汗を流していた。普段は剣を振るう彼らも、この日は土を掘り起こし、石材を運ぶ労働に励んでいた。


ルージュロゼリアのリーダー、リリアンも手を汚すことをいとわず、職人たちの作業を手伝っていた。彼女が笑顔で職人に声をかけると、周囲の雰囲気も明るくなった。


「リリアンさん、護衛だけでなくこういう作業も得意なんですね!」

「いえいえ、私たちも新しい舞台を自分の手で作るのが楽しみなんです。」


騎士団と職人たちの協力のもと、作業はスムーズに進行していった。



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4. 改修がもたらす影響


改修工事が進むにつれ、コロセッオの姿が徐々に変わっていくのを見た領民たちは期待に胸を膨らませていた。市場や広場では、改修に関する話題が人々の間で飛び交っていた。


「このコロセッオがライブ会場になるなんて信じられないわ!完成が待ち遠しい。」

「蒼鷹騎士団とルージュロゼリアのステージ、絶対に見に行くぞ!」


エミーはこうした領民たちの声を聞きながら、改修が単なる建物の工事に留まらず、領民たちの心に希望を与えていることを実感していた。



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5. 順調な滑り出し


改修工事は順調に進み、観客席の拡張や音響設備の設置が着実に形になり始めていた。エミーは現場を巡回しながら、進捗状況を確認していた。


「皆さんのおかげで、素晴らしいスタートを切れています。この調子で進めていきましょう!」

彼女の励ましに、職人たちや騎士団の団員たちは力強く答えた。


しかし、すべてが順調に進んでいるわけではなかった。工事が進む中で、予期せぬトラブルが発生する兆しが見え始めていた。それでも、エミーはその可能性に目を向けながらも決して諦めることはなかった。



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新たな挑戦の始まり


こうしてコロセッオの改修工事は、エミーを中心に着実に進行していた。領民たちの期待を背負い、蒼鷹騎士団とルージュロゼリアが輝く新しい舞台が少しずつその姿を現し始めていた。





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