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学生快楽殺人鬼の日常
学生快楽殺人鬼の日常
tanahiro2010
現実世界裏社会
2025年05月28日
公開日
1,756字
連載中
 特に趣味もなく、軽い厨二病により倫理観が終わっている時期に目の前で両親を殺された僕こと、優斗。  殺人鬼は、親を殺す時にとても楽しそうな顔をしていた。  だから、趣味を探していた僕は殺しを趣味にすることにした。 ——気に入らない人は消してしまえ  なんと、ストレス皆無な生活なのだろうか

第1話

「ほら、もっと叫べよ!もっと泣けよ!そうじゃないと面白くないだろぉ?」


 粘着的で、そしてどこか狂気を感じさせる笑みを浮かべた成人男性が、ナイフを振り上げ、振り落とす。

 その先にあるのは、紅く染まった夫婦が1組。

 その光景を僕、堺優斗は呆然と眺めていた。


「なぁ、ほら!お前らの子供が!お前らが殺されてるところを見てるんだぜ?なぁ、だから泣き叫べよ!早く!!」


 僕のことは眼中にないよ…いや、僕の両親を苦しませるための材料としか見ていない男は、そう叫びながらまた、ナイフを振り落とす。


 あぁ、楽しそうに笑ってるな。


 ふと、そう思った。



 僕は、空気だ。

 もちろん、言葉通りの意味ではなく、比喩的な意味だ。

 学校には1人も友達がいないことは愚か話せる人もいない。

 なら、ネットはどうかと聞かれても、現実となんら変わらない。

 ネット上で話しかけられても、何を返せばいいのかわからず基本的な挨拶すらできない。


———そう、僕は世間一般的に「チー牛」と呼ばれる人種にもなれない真性のボッチなのだ。


 そのせいで僕は、趣味と呼べるものを一つも持っていない。

 自身がして、「楽しい」と思えるものを一つも持っていないのだ。

 得意なこともなく、僕の特徴といえば信じられないほどに陰が薄く、そこにいても気づかれないことしかない。



 だからつい、思ってしまったのだ。

 狂気を感じさせるとはいえ、その、楽しそうな満面の笑みを浮かべられることが、羨ましいと。

 目の前で、両親が殺されているにも関わらず。

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