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第6話 「恋の三角関係、そして莉乃先輩の秘密」

合宿明けの学校は、まるで昨日の熱気が残っているみたいにピリピリしていた。

剣王会のメンバーはみんな疲れているはずなのに、どこかキラキラして見えるのは気のせいじゃない。


教室で茉莉奈は、ふと藤井先輩のことを考えていた。

あのツンデレっぷり、そして意外な優しさ……。

「素直になれよ」と言った声がまだ耳に残っていて、顔が熱くなった。


そんな時、不破くんがすっと近づいてきた。

「おはよう、茉莉奈。今日も剣王会、頑張ろうぜ!」


不破くんの笑顔は眩しい。だが茉莉奈は、心の中で揺れていた。


「不破くん、ごめんね。私、藤井先輩のことがまだ気になってて…」


「わかってる。でもさ、俺だって負ける気はしないよ。俺が茉莉奈を守ってみせる!」


彼の真剣な瞳に、茉莉奈は思わず「ありがとう」と言った。


放課後。

剣王会の道場に莉乃先輩が現れた。


「お疲れ様。今日は特別に基礎を教えてあげるわ」


莉乃先輩はいつも通り、大人っぽくてさっぱりした笑顔。だが、その目には強い決意が宿っている。


「莉乃先輩、なんだか今日の先輩、いつもと違いますね」


「ふふ、それは秘密。実はね……私も茉莉奈に話したいことがあるの」


二人きりになると、莉乃先輩は少し照れくさそうに話し始めた。


「私はこの剣王会の“姫”って呼ばれているけど……正直、いつも自分に自信がなくて」


「え?」


「強くならなきゃって思うけど、焦りすぎて空回りしちゃうの。でも、茉莉奈みたいに明るくて純粋な子がいると、私も救われるの」


茉莉奈は胸がじんわり温かくなった。


「莉乃先輩……私、先輩のこと尊敬してます」


「ありがとう。これからも一緒に頑張ろうね」


二人は自然と手を重ねて、少しだけ特別な空気が流れた。


次の日、部活対抗戦が開催された。


剣王会は強豪校を相手に連戦連勝。

藤井先輩も不破くんも、茉莉奈のために全力を尽くしていた。


試合の合間、藤井先輩は茉莉奈を見つめて言った。


「……俺、おまえのこと、ちゃんと考えてる。たまにはそれくらい、知っておけ」


茉莉奈は顔を真っ赤にして、うつむいた。


「藤井先輩……私も先輩のこと、気になってます」


「そうかよ。だったら、もっと素直にしろよな」


その言葉に、茉莉奈の心は弾けた。ツンデレ先輩の素直な気持ちが、こんなにも嬉しいなんて。


しかし、不破くんも負けてはいなかった。


「茉莉奈、俺と勝負しようぜ。どっちが先輩のハートを掴むか、真剣勝負だ!」


二人の間で、甘く切ない三角関係の戦いが始まっていた。


そして放課後。莉乃先輩は茉莉奈に声をかけた。


「ねぇ、今度の合宿、二人で遠征に行かない?」


「えっ、二人だけで?」


「うん。勝ち抜き合宿があって、強豪校もたくさん来るの。君と私で一緒に挑戦したいの」


茉莉奈の胸は高鳴った。


「はい、ぜひ!」


二人旅が、甘酸っぱくてときめく青春の幕開けだった。


そんなこんなで、恋の火花はあちこちで散っている。

チャンバラの勝負も恋の駆け引きも、どちらも真剣勝負。


茉莉奈は心の中で呟いた。


「私の青春は、こんなに甘酸っぱくて、切なくて、何よりキラキラしてるんだって」


そう、これが青春の魔法なのだ。



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