マインド・イーターの指導者が、その禍々《まがまが》しいアバターの力を解放した瞬間、僕たちを取り巻く空間そのものが悲鳴を上げたように
凄まじいプレッシャーが、僕たち四人のアバターを、そして精神そのものを押し
『さあ、始めようか。旧世界の
指導者のアバター――「オリジン」とでも呼ぼう。その根源的な悪意を感じさせる存在は、無数の黒いエネルギー球を僕らに向かって放ってきた。一つ一つが、並のマインドワームなど比較にならないほどの破壊力を持っている!
「くっ……!」
「避けろ!」
僕たちは必死で回避、あるいは防御するが、その数はあまりにも多い。アバターの装甲が削られ、僕らの精神にも直接的なダメージが蓄積していく。
それだけじゃない。オリジンは、この精神ネットワークの中枢から、僕たちの心の弱さに直接語りかけてくるのだ。
『桐生 大輝……お前のその熱血も、所詮は劣等感の裏返しだろう?』
『夏目 莉緒……お前が守ろうとしている絆など、
『水瀬 一葉……お前のその力も、いずれ人々から
『そして、来栖 悠人……お前は、また逃げるのか? 大切なものを、守りきれずに……』
「うるさいっ!!」
僕らは、その精神攻撃に耐えながら必死に反撃を試みる。大輝の炎が、莉緒さんの爪が、僕の光線銃が、一葉さんの浄化の光が、オリジンへと放たれる。だが……。
『……無駄だ』
オリジンは、僕らの攻撃を、まるで取るに足らないもののように、最小限の動きで弾き、あるいは吸収してしまう。次元が違う……! これまでの敵とは、何もかもが……!
《悠人! こいつ、精神ネットワークのエネルギーを直接吸い上げて、自分の力にしてる! 普通の攻撃じゃ……!》
ノアの声も、敵の強力な干渉を受けて、途切れがちになっている。まずい……このままじゃ、本当に……!
オリジンの放った強力な一撃が、僕のアバターを直撃した。視界が真っ白になり、意識が遠のきかける。仲間たちの悲鳴が、どこか遠くに聞こえる……。
(ダメだ……ここまでなのか……?)
諦めかけた、その時だった。
「悠人! しっかりしろ!」
大輝の声。ボロボロになりながらも、彼はまだ立っていた。
「あんたが諦めてどうすんだよ! リーダーだろ!」
莉緒さんも、傷つきながら僕を睨みつけている。
「来栖君……! 私たちが……ついています!」
一葉さんの、祈るような声と、温かい回復の光が、僕の
そうだ……僕は、一人じゃない。みんながいる。みんなが、諦めていない!
守りたいものがある。取り戻したい日常がある。一緒に笑い合いたい仲間がいる!
僕の心の奥底から、新たな力が、熱い想いが
「うおおおおぉぉぉっ!!」
僕のアバターが、これまでにないほどの
『……なにぃ!? その力は……!?』
オリジンが、初めて
《……悠人! 今だよ! あいつのコア……精神ネットワークとの接続部分が、一瞬だけ無防備になってる! みんなの力を、一つに合わせるんだ!》
ノアの声が、クリアに響く!
「みんな、行くぞ!」
僕の呼びかけに、三人が力強く頷く!
「おう!」
「はい!」
「っしゃあ!」
僕のアバターが光の剣を構え、大輝のアバターが炎の拳を燃え上がらせ、莉緒さんのアバターが金色のオーラを纏い、一葉さんのアバターが最大限の浄化の力を杖に込める。
四つの魂が、四つのアバターが、一つになる!
「これが……!」
「俺たちの!」
「私たちの!」
「ウチらの!」
「「「絆の力だぁぁぁっ!!!」」」
四つの力が合わさり、巨大な希望の光の
『馬鹿な……感情などが……この私を……!? ありえ……ない…………』
オリジンは、光に飲み込まれながら、信じられないというように呟き、その姿が徐々に
やったのか……!? 僕らが、勝ったのか……!? だが、オリジンが完全に消滅する寸前、その口元が、確かに歪んだ笑みを浮かべたのを、僕は見逃さなかった。
『……フフ……フハハハ……これで……『完成』、だ……』
え……? 完成……? いったい、何が……?
僕らが困惑する中、オリジンは完全に消滅した。しかし、彼の最後の言葉と、あの不気味な笑顔が、僕の心に重たい予感を残していた。