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第3話 ポンピランとパンポンピン

 古いポンピランを身にまとって、パレードは始まった。コスチュームをレトロなものにするだけで、パレードの内容事態は変わらない。

 この日、宗津麗は違和感を覚えた。なんだか、いつもより、ポンピランではなくポンピランのガールフレンドであるという設定のパンポンピンのほうがキャーキャー言われている気がするのだ。

 なんだろう⋯?

 そこまで、はっきりゲストの反応を知れるわけではないから、的外れかもしれないけれど、でも、なんだか今日のポンピランは皆に求められていない気がする。デスティニーランドで人気No.1のポンピランなのに。もしかしたら、急にクラシックデーになったので、ゲストは驚いているのかもしれない。デスティニーランドオタクのゲストたちは「これが噂のクラシックデー」と興奮しているのかもしれないし、滅多に来園しないゲストには、クラシックデーの存在を知らない人もいるので、古ぼけたコスチュームに困惑しているのかもしれない。

 タンッ、タラッ♪、タンッ、タンッ♪⋯⋯

 パレードのメロディーが聴こえてくる中で、麗はふと立ち眩みを覚えた。しかし、プロとして、ここで頭を抱えるわけにはいかない。その後の記憶はほとんどない。

 気がつくと、麗はバックヤードの救護室で休んでいるのだった。


【つづく】

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