「ねえ、真守さん、覚えているかしら? あの家にいた時、鈴蘭の花言葉は『再び幸せが訪れる』って話したわよね。でも
スズカはいつもと変わらぬ、花が綻ぶような笑みで話す。
「あと、鈴蘭は『天国の階段』って話も覚えているかしら? 天国って言葉、面白いわよね――だって、“死”という概念と、“幸福”という概念……対照的なイメージの言葉が思いつくのだから……」
その声色はとても楽しそうだ。
「でも、酷いわよね! 守正は私たちの事を知っていて、あなたを隠したのよ……!」
彼女は頬を膨らませる。
「あ……でも……最終的に一緒になったのだもの。私たちの運命は……誰にも変えられないほど、壊せないほど――強かったのよね、きっと。あゝァ、嬉しいわァ……!」
「そう思わない?」
「ねえ、
壊れていた左側の扉が、ギイ……と音を立てて閉じた。