夜の都会は眠らない。
ネオンが灯り、雑踏の中で誰かの笑い声が遠くに響く。
リュウ(本名:水嶋 隆之)は、そんな街の一角で独り、電子タバコの煙をゆっくりと吐き出していた。
いつもの香水の香りが、夜の冷気に溶けていく。
「裏切り者のレッテルは…悪くない」
彼の唇が、ふっと歪む。
だが、その裏には深い計算があった。
表向きは、まゆらたちの敵として動いていたリュウ。
だが、その裏で彼は、しのぶちゃんの動きをスパイしていたのだ。
「奴らに渡したら、俺たちの全てが終わる」
リュウは知っていた。
しのぶちゃんのランドセル就労支援制度は、表の顔だけでなく、底知れぬ闇を抱えていることを。
「だから俺は裏切り者のふりをした」
誰にも言えない秘密を抱え、孤独に戦うリュウ。
ナルシストでチャラ男の彼も、この時ばかりは一人の男の顔だった。
一方、しのぶちゃんは静かなオフィスの一角で、過去の資料を見返していた。
「私は、子供のころから周囲と違った」
優秀すぎる頭脳と冷静すぎる判断力。
そのせいで孤独を感じ、心を閉ざしていた少女時代。
「希望なんて、幻想だと思っていた」
しかし、社会の不条理と出会い、
弱者が踏みつけにされる現実に直面し、彼女は決意した。
「この世界を変える――それが、私の使命」
だが、その使命感は時に冷徹な独裁者の影を落とす。
しのぶちゃんの“光”は、裏返せば“闇”だった。
まゆらは、リュウに裏切られたショックから少しずつ立ち直りつつあった。
「信じることは、弱さじゃない」
かつての極道の経験が彼女を支えている。
裏切りには慣れている。だが、信頼は簡単に壊れないと、心に誓った。
「私たちが守るべきものは何か」
灯や翔と話し合いながら、プロメテウスJobの未来を見据える。
傷ついても、希望を捨てない。
「もう一度、立ち上がる時だ」
彼女の目に再び強い光が宿る。
リュウは鏡の前で、自分の顔をじっと見つめていた。
「俺は一体、誰のために戦っているんだ?」
ナルシストの彼にとって、自分自身が最大の味方であり最大の敵だった。
「まゆらたちのため、なんて言いながら…実は自分を守ってるだけかもしれない」
だが、それでも彼はやめられなかった。
「この社会の狂ったゲームを、俺が最後まで生き残る」
その決意が、彼を前に進ませていた。