結局、ワゼルもまたアザンギのものを口に含み、射精へと導いた。さきほど、アザンギからしてもらった方法を知っているから、ワゼルは得意になってそれをすることが出来た。
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夜が明けると、ワゼルとアザンギは、イシュヴィシュの民たちの家を一軒一軒周りはじめた。
そして、異性愛をやめ、みな同性愛をするべきだと訴えて回った。
残念なことに、「はい、そうですか」と同性愛が出来るものではないし、ほとんどの民は非力な異形の小型獣でも見るような目で二人のことを見て、何とも返答しなかった。
二人とよく交流のあった、おじいさんからは「気でも触れたのか?」と怒られた。
アザンギはワゼルに言う。「こういうのって、周りが理解してくれるのに、時間がかかる。でも、言い続けていれば、そのうち分かってくれるさ」
ワゼルは、アザンギがどこか遠くの世界にいるような気がした。実際には、隣にいるのに、心はものすごく離れているような。
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それから数日経って、アザンギは体調不良を訴えた。
半年後、アザンギの腹は大きくなっていた。
まるで、アザンギが妊娠したかのようだった。
イシュヴィシュの民たちも、アザンギの腹が大きくなっているという事実から目を逸らすことは出来なかった。
一方で、ワゼルは、アザンギが出した精液を飲み込まずにはいて捨てたから、妊娠しなかったのかしらん。
アザンギは地下牢に入れられた。
ワゼルは時々、見舞いに行った。
男が子どもをはらむという異常自体に、イシュヴィシュの民たちは混乱した。
そんなことがありえるのか。あってよいのか、誰にも分からなかった。
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そして、半年後、アザンギはお尻の穴から、子どもを産んだ。なんと、どうだろう。アザンギの子どもは毛むくじゃらの犬獣のようであった。まだ、小さいけれども。それは、人ではなく獣だった。
イシュヴィシュの民たちは、アザンギと子どもを忌み嫌い、街から追放した。
ワゼルも二人についていく形で、街を出た・・・
【つづく】