それから、ワゼルとアザンギは手を繋いで、星空の下、原っぱに仰向けになって寝転んだ。
アザンギは「どうだ?気持ち良かったか?」と聞く。
ワゼルは、「ま、まあ。わ、悪くはなかったよ」と言った。
アザンギは、「なあ、ワゼル。良いことを思いついた」と言った。
ワゼルは、「な、なんだよ?」と言う。
アザンギは「お前。報復したいんだろう?この世界に対してさ」
ワゼルは「そうだ」と言った。
アザンギは、「こういうのはどうだろう?もう、男同士でそういうことをするって、流行らせるんだ」
「そういうことって?」
「俺たちがさっきしたみたいなことだよ」
ワゼルは、「男女でそういうことをするんじゃなくて、男同士ですることを流行らせるってことか?」と訝しみながら聞いた。
アザンギは「そう。女は女同士でさせる」と言った。
「それが、報復とどう関係するんだ?」
アザンギは自信満々に言った。「もし、それが流行れば、もう子どもが生まれてくることはないじゃないか。それって、俺たち生きるものにとって、世界に対する最大の報復だと思うんだよ」
ワゼルは「ちょ、ちょっと待ってくれ。子どもを作らないことが報復って、それはあんまり、男女でも子どもを作らない人だっているわけだし、報復って。そりゃ、報復って、そりゃあ、あんまりな言い草じゃないか?男同士、女同士で子どもが出来なくても、それを報復ってネガティブに言うのは・・・」
アザンギは不思議な顔をした。「子どもを作らないことは、全然ネガティブなことなんかじゃない。まあ、報復って言ったら、その人たちが怒ってしまうかもな。でも、この生のサイクルを終わらせるってのは、一つ、一つ、大きなことだと思うぞ。報復って言葉はちょっと悪かったかもな」
ワゼルはやれやれと首を傾げた。「まあ、とにかく、拷問官になんかならずに、俺たちは男同士でお楽しみにふけってりゃいいってわけか」
アザンギはそこで閃いた。「なあ、俺はまだお前に抜いてもらってないぞ」
ワゼルは覚悟を決めた。
【つづく】