自由な生活を満喫しつつも、新しい人生への一歩を模索していたレアリナは、過去を振り返る時間を過ごしていた。そんなある日、彼女のもとに一通の手紙が届いた。送り主はエドワードだった。
手紙には、彼が近くの町に用事で訪れること、そして再び彼女と会いたいと書かれていた。その内容を読んだレアリナは、胸が少し温かくなるのを感じた。エドワードはずっと彼女を支えてくれた存在であり、カイゼルとの戦いを共に乗り越えた彼のことを、彼女は心から信頼していた。
「エドワード……。」
彼の名前を口にするたび、自然と優しい気持ちが湧いてくる。その日の夜、彼と再会する日のことを思い浮かべながら、レアリナは穏やかな眠りについた。
数日後、レアリナは近くのカフェでエドワードと再会した。彼は変わらぬ穏やかな笑顔を浮かべていたが、どこか以前よりも安心感を感じさせる雰囲気を纏っていた。
「久しぶりだね、レアリナ。元気そうで何よりだ。」
エドワードはそう言いながら、彼女の隣に座った。
「ええ、おかげさまで……少しずつ新しい生活にも慣れてきたわ。」
彼女は微笑みながら答えた。その表情には以前のような硬さや疲れはなく、どこか晴れやかな雰囲気があった。
「それなら良かった。君が笑顔でいられることが、僕にとっても何よりの喜びだからね。」
エドワードの言葉に、レアリナは少し驚いた様子を見せた。彼の声には誠実な温かさが込められており、その一言が彼女の胸に静かに響いた。
二人はカフェで、互いの近況について語り合った。エドワードは法務の仕事を続けながら、カイゼルの事件をきっかけに、貴族社会の不正を正すための改革活動にも関わっているという。
「君と一緒にあの事件を乗り越えたことで、僕自身も変わることができたんだ。」
そう語るエドワードの瞳には、強い意志が宿っていた。彼はこれまでただ法律を守るために仕事をしてきたが、今では社会全体をより良くするために行動するようになったという。
一方、レアリナは静かな田舎生活を楽しむ一方で、これからの人生にどんな目標を設定すべきかを考えていると話した。
「まだ、自分が何をしたいのかははっきりしていないの。でも、過去の経験を活かして、他の人たちを助けることができればと思っているわ。」
その言葉に、エドワードは深く頷いた。
「君ならきっとできる。君の行動は、僕や他の仲間たちにとっても希望だったんだ。これからも、君らしく進んでいけばいい。」
会話を重ねる中で、レアリナはふと気づいた。エドワードが、ずっと自分を見守り、支えてくれていたことを。カイゼルとの苦しい戦いの最中も、彼は彼女を一人にはしなかった。そして今も、彼の存在は彼女にとってかけがえのないものになっている。
カフェを出た後、二人は近くの公園を歩いた。夕日が空を染め、柔らかな光が二人の周りを包み込む。エドワードの隣を歩きながら、レアリナは何度か彼に目を向けた。
(エドワードは、いつも私のそばにいてくれた……。)
そう思うと、不思議と胸が温かくなる。これまで彼をただの幼馴染として見てきたが、今ではその存在が少しずつ特別なものに思えてきていた。
別れ際、エドワードはいつもの穏やかな笑顔を浮かべながら言った。
「今日は会えて本当に良かった。これからも君を応援しているよ。何か困ったことがあったら、いつでも頼ってほしい。」
「ありがとう、エドワード。本当に感謝しているわ。」
レアリナはそう答えながら、彼に微笑み返した。
その夜、家に帰った彼女は、窓辺に座って星空を見上げながら、エドワードとの会話を思い返していた。彼の優しさ、誠実さ、そして彼女を支え続けてくれる姿勢――それらすべてが、彼女の心を強く揺さぶっていた。
「もしかしたら……私は……。」
自分の中で芽生え始めた感情に気づきながら、彼女は静かに目を閉じた。これまでの人生では知ることのなかった「本当の愛」に、少しずつ近づいているのだと感じていた。
エドワードとの再会は、彼女にとって新たな未来への一歩を示すものであり、同時に彼女自身の心を大きく変えるきっかけとなったのだった。