【日本の】暁火隊さんの不祥事wその3【日暮れぜよ】
33 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:19:04.60 ID:4jFZTnBeF
仕事干されてるらしい
もうダメそ?
34:名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:22:26.95 ID:ZJwqZ8aI6
ゆうて元からコネゴリ押しだった模様
35 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:23:06.65 ID:NSw1nISDV
>>34
コネ?
36 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:26:53.74 ID:qEwGdNlrj
>>35
暁火隊リーダーが元官僚なのは有名な話
37 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:30:43.92 ID:uNfLOUJCV
褒章授与も既定路線だったんでしょ
霞が関は相変わらずやね
38 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:32:22.30 ID:Z0t79Sj0a
フロストドラゴンゆうてそんな強くなかっただろw
ネッシーのが上
39 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:34:52.53 ID:gBpoBDzEU
日本最強(なお酒には負ける)について語ろうぜw
40 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:35:42.30 ID:LWz95kBGa
>>39
専スレ行って、どうぞ
41 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:40:28.94 ID:D6583kSiB
まあ国側のパーティなんてそんなもんよな
42 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:47:30.30 ID:uaCid9eXS
どうせ前にも国家権力笠にきて同じようなことしてたんじゃねーの
43 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:49:15.35 ID:5pP1A7BEB
ワイも適性Aニキに生まれてチヤホヤされたいンゴねえ
44 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:52:55.37 ID:rpUQRToxH
>>43
顔が……
45 :名無しのモグリ:2051/05/15(月) 03:56:35.86 ID:IJpx9tbfZ
天に二物を与えられた男が落ちぶれる様を肴に飲む酒はうまいw
………
……
…
「はあ、好き放題言ってくれちゃってまあ」
情報部のモニターの1つでネットの匿名掲示板を開いて片手間に確認する栞羽の声は冷たい。
それは世間の無責任な流言飛語に慣れてしまった自身と、自分たちの職分にあるというのに追いつかない火消しの結果に対する怒りを含んでいた。
「なーにが国家権力ですか、うちが今までどれだけ政府の尻拭いをさせられてきたと……」
「……班長、転載まとめサイトがまた3件増えてます」
「んあ゛~~~~~~~~~~~~~~」
充義からの報告に、栞羽が奇声を上げて頭を掻きむしる。
或斗の誘拐から4日、普を糾弾するネット記事が出てからまる3日、不眠不休で事態の収拾を図るスペード班は、はかばかしくない作業の結果と世間の冷酷さに打ち据えられていた。
一方、日明は15日の朝、政府の姿勢について問いただそうと東京都ギルド本部を訪れていた。
本来であれば既に受領済の仕事の一方的なキャンセルなど、キャンセルする側が赴いて事情を説明するべきところである。
世にも知られている通り、日明は官僚出身であり、ギルドの立ち上げにも大きく貢献した人間で、ギルド上層部、ダンジョン省高官との繋がりも強い。
事なかれ主義の高官を説き伏せ、個人的繋がりを駆使した結果、ギルド本部で事情説明の場が設けられるに至ったのである。
そもそも今までほとんど政府にとっては専属に等しい扱いをしてきた『暁火隊』をここまで急に切ろうとするのは、日明の個人的なコネクションを無しに考えてもおかしい。
後継となるパーティの選定、継続的な仕事の引継ぎなど、山のように手間は増える。
しかも現在の『暁火隊』を上回る実力を持つパーティが日本にあるかと問われれば、日明は否と答えるだろう。
(それも巳宝堂、か……)
巳宝堂財団も、自衛のための武力として高ランク適性者を雇い入れ、力をつけている。
だがその総力は到底普を擁する『暁火隊』に及ぶところにはない。
政府、ダンジョン省の上層部は今、巳宝堂派と暁火隊派で割れているのではないか、と日明は予測していた。
巳宝堂の洗脳技術、そして「カージャー」との繋がりによる高ランク適性者のクローンという継続的な武力供給の提案を受ければ、倫理を度外視して天秤をそちらに傾ける権力者は存在するだろう。
今まで巳宝堂との繋がりで利益を得ていた者ならなおさら、そして歯がゆいことには、政府への影響力については『暁火隊』は巳宝堂には及ばない。
おそらく今回の件で、『暁火隊』派についている権力者は少数派だ。
『暁火隊』として13日中にネット記事に対して『事実無根』との表明はしてあるものの、世間は写真1枚で証拠十分として普を悪とする。
世論を味方につけた権力者、そして慈善事業団体……日明個人の伝手と『暁火隊』の保有する政府の弱味だけでは押し負ける。
誰だって勝ち馬に乗りたがるものだ、時間が経てば経つほど中立派は巳宝堂派に取り込まれていくだろう。
だからこそ、この時点で『暁火隊』派の上層部と協議を持ち、今後について話し合うべきであったのだが……。
「キャンセル?」
「ええ……はい。ギルド長と日明様との本日のお約束はキャンセルとなっております……」
非常に困惑した表情をしている受付の女性が、申し訳なさそうに言う。
現在のギルドのトップ、ギルド長と日明の付き合いは長い。
個人的にも、組織的にも繋がりは非常に強い相手だ。
ギルド長が自分の意志でアポイントを取り消したとは思えない、何か抜けられない予定を入れられたか、のっぴきならない弱味を握られたか。
ギルド長にも家族はある、或斗を脅した巳宝堂のやり口を思えば、理由はいくらでも考えられた。
顔を強張らせて受付を恐縮させていても仕方がない、ギルド長の状況を含めて調べ直し、出直すべきだと日明はすぐに考えをまとめる。
「わかった。ありがとう」
日明が頭を下げる受付へ首を横に振って立ち去ると、その背に聞えよがしに別パーティの会話が投げられる。
「天下の『暁火隊』リーダー様が受付拒否とはねえ」
「ダンジョン適性Fを戦闘メンバーに入れたって噂、本当かよ。リーダー様、ボケが来てんじゃねえの」
「老兵には去ってもらって、代わりに仕事を回してもらいたいもんだよな」
「俺らも政府の仕事してたら日本最強名乗れるかもしれないぜ」
『暁火隊』のみならず、普個人が『暁火隊』を抜けて勝ち得た称号さえ馬鹿にする言い様に、日明は顔に出さない怒りの分、強く拳を握った。
巳宝堂という敵の大きさを見誤っていた己の責であることは事実だ、だがここから、何としても態勢を立て直し、巳宝堂のcor・telaプランを止めなくてはならない。
今日明へ侮辱の言葉を投げつけた彼らにも、巳宝堂の洗脳という魔手は迫っているのだから。
15日昼、『暁火隊』本部ビルはかつてないほど人であふれていた。
というのも、仕事が急遽無くなった戦闘メンバーや支援担当が暇を持て余して休憩室や食堂で時間を潰す他ない状態にあるためであった。
ネットでの風評のこともあり、暇を持て余した戦闘メンバーの中でご機嫌なのは、普段声をかける機会の少ない戦闘メンバーの女性に声をかけ放題だと思っている高楽くらいのものであり、ビル内の空気はどことなく暗くピリついていた。
詳細ではないものの、普の記事の真相を知る戦闘メンバーも居ることもあって、戦闘メンバーらから普を非難する声は出ていない。
けれど自分が招いた状況であることも重々理解している或斗は、どことなく肩身の狭い思いをしながら食堂へ向かっていた。
逆に或斗の隣を歩く普は平然としていて、今日だけで高楽を7回は蹴り飛ばすなど、いつも通り神様仏様普様とばかりにふんぞり返っている。
普の極端に過ぎる肝の太さは見習うべきか、こうなってはいけないと反面教師にすべきか怪しいところである。
そんな或斗と普の座った食堂のテーブルへ、戸ヶ森が近づいて来た。
酷く険しい顔をしており、或斗はついに今回の件について責める人1号が現れたかと身構えたが、戸ヶ森の口から出てきた言葉は或斗の予想の外にあった。
「私は別に、アンタのせいだとは思ってないから!」
何についてとも言わず、それだけを言い放って戸ヶ森は逃げるように去って行った。
隣の普が2人分の昼食の注文を終え、「暇だから午後は訓練だ、深層まで潜るぞ」と言いだすまで或斗はポカンとしていた。
『暁火隊』本部ビルの裏では、後方支援部隊の面々が、急遽キャンセルされた依頼の影響で余らせた資材を車から取り出すなど、整理作業をしている。
本部ビル内の薄暗い苛立ちの空気が耐えがたく、何か手を動かしていたいという衝動があったのもある。
とはいえいつもとは違い、急を要する作業でもないため、それぞれ緩んだ空気で気ままに手を動かし、先行きについての不安などを口にしていた。
どちらかといえば、本部ビル内では言いづらいこういった話をするために外へ出てきた面は大きい。
「任務がないと俺たちいよいよやることないよな」
1人の後方支援部隊員がポツリと言う。
後方支援は支援する先の戦闘メンバーあっての仕事、情報部のように裏工作技能の無い彼らは戦闘メンバーよりも一層、任務がなくなったことに精神的なダメージを受けていた。
『暁火隊』では戦闘メンバーと同等に扱われるため、普段は意識することが少ないけれども、後方支援部隊とは適性の低さから、戦闘メンバー入り出来ない人間の勤め先である。
『暁火隊』を1歩出れば、ダンジョン社会における低適性ランクの扱われ方は他と同じだ。
1人が呟けば、他からも水がこぼれるように不安や不平が出てくる。
「給与ちゃんと払われるのかな」
「しばらくは大丈夫だろ」
「この状況、いつまで続くのかな」
「そもそも何だよあのネット記事、普さんを馬鹿にしやがって」
それでも本部ビルの外は外、彼らも声が大きくなり過ぎないよう気を付けて言い合っていたが、そこへ1人の通行人が近づいて来た。
その通行人はどこかの勤め人だろうか吊るしのスーツを着た、髪と目も暗色の、要するに後方支援部隊のコンプレックスを刺激しない見た目の平凡な見かけをしていた。
「『暁火隊』の皆さん、今大変ですよね。お疲れ様です、私は応援してますよ」
そんな自分たちを『暁火隊』の一員と認め、世間の逆風とは異なる意見を口にした平凡そうな見かけの男に、後方支援部隊の面々は少し心を解きほぐされた。
「それはどうも……」
「変な愚痴を聞かせてすみません」
苦笑を浮かべる後方支援部隊の面々へ、平凡な男は一段声を潜め、事情通の顔をして同情の声音のまま、毒を差し出した。
「私、知ってるんですよ。あの記事の真相……本当に巳宝堂を怒らせたのは誰か」
「ええ?」
平凡な男は周囲をキョロキョロと見回して、他に人が居ないことを確認する動作を見せた後、話を続ける。
「最近入った、ダンジョン適性の低い戦闘メンバーが居るでしょう、若い男の……」
「……もしかして、遠川のことかな」
「おい、あの子には事情があるって……」
「その事情ですよ、それが原因で、巳宝堂が怒っているらしいんです」
或斗の事情、虹眼について知らされていない後方支援部隊の面々は、平凡な男の持って回った言い方に思わず耳をとられた。
「元々巳宝堂ゆかりの人間だったらしいんですが、本人の我儘で、家出するような形で『暁火隊』に入れてもらったとか……」
「そんな話聞いたことないけどな……」
「でも確かに、この間巳宝堂の会長が来て遠川と話してたよな」
「普さんも同席してた……」
平凡な男の、巧妙に事実を織り交ぜた語りが、後方支援部隊の面々の中で暗い輪郭を形作っていく。
「その遠川っていうのが、今回の原因なんですよ」
「彼が居なくなれば、事態は解決するんじゃないですかね」
後方支援部隊の面々はどこかぼんやりとした表情で、平凡な男の言葉を聞き、顔を見合わせた。
このとき、平凡な男が後ろ手に持っていた、小さな暗黒色の六角形の存在に気付く者は誰もいなかった。
16日の午前中、前日の地獄の普ブートキャンプの影響で疲れの滲んだ顔をした或斗の元へ、あまり親しくない後方支援部隊の男性が1人やってくる。
昨日と違い、暇を持て余した戦闘メンバーは各々自宅待機という名のダンジョン巡りをしたりしていて、あまりビル内には残っていなかった。
或斗は普から渡された『レジュメ作成の極意』という課題本を読み込みながら、オフィス区画で独りパソコンと闘っているところであったので、後方支援部隊の男性から「任務のことで」と告げられて首を傾げる。
「ええと……日明さんからの伝言とかですか?」
「いえ、以前受けてもらった任務の件で、うちの人間から尋ねたいことがあると」
以前、と言われてピンとくる任務は特にないが、とにかく或斗は対パソコンとなると手元が怪しくなるので、普チェックの入っていない報告書関連では何らかミスをしていたとしてもおかしくはない。
資料室へ、という言もそれを裏付けるようであったし、何しろ今の作業は急ぎのものではないため、或斗は頷いてその後方支援部隊の男性へついていってしまった。
4階の資料室付近には人影がなく、シンとしていた。
しかし或斗が後方支援部隊の男性について、資料室の中へ入ってみると、室内には何か妙な熱気が漂っているように思われた。
そう広くもない資料室の中には後方支援部隊のメンバーだけが10人ほど集まっており、先導してきた男に背中をドンと押されて、或斗はその集団の真ん中へ突き出される。
押し出されたことには驚いたが、何しろ本部ビル内でのことであり、周囲を囲んでいるのも後方支援部隊の、つまり『暁火隊』の仲間である。
或斗は自分を突き飛ばした男が資料室の扉に鍵をかけるまで、まずい事態に陥っていることに気が付かなかった。
「あの、これは一体……」
流石に異様な空気を察した或斗がそう尋ねると、或斗を取り囲む10人のうち1人が親の仇を見るような形相で或斗を睨み、憎悪に染まった声音で或斗をなじった。
「お前のせいで『暁火隊』の名前が汚された」
1人が或斗を指差してそう言うと、集団の他の人々も同じように憎々し気な声を上げる。
「お前がうちに来たことが全ての原因だ」
「お前が『暁火隊』を辞めて、巳宝堂に行ってしまえば解決するんだろ?」
「何でのうのうとうちにいるんだよ」
口々に投げつけられる言葉はある種事実でもあり、或斗は反論が思いつかず、息を呑む。
集団の1人が「……出ていけ」と呟く。
その言葉が波紋のように広がって、或斗は10人ほどの集団に囲まれて全員から「出ていけ!」と責め立てられる。
『暁火隊』に加入して2ヶ月余り、後方支援部隊の面々とも少しずつ親しくなっていたところであり、或斗はもう仲間と認められているものだと認識していた。
だが実際、虹眼の話は戦闘メンバーでも知らない人間が多く、後方支援部隊の面々はもっと知らない者が多いだろう。
暖かく受け入れてくれる人々に甘えていた、と或斗は唇を噛んだ。
少なくとも、今この場で全てを説明して証明する手立てがない以上、彼らの言い分は正当である。
何も言えずに立ちすくむ或斗へ、集団の1人が1歩踏み出す。
「言ってもわからないなら出ていきたくなるようにしてやる」
その言葉を契機に、集団の放つ敵意が高まった。
拳を握る者、小型のナイフを取り出す者が居る。
拳はともかく、ナイフはマズい。
「後方支援だからってダンジョン適性無しが勝てると思うなよ」
その言葉通り、後方支援部隊のメンバーとはいえダンジョン適性はE程度が最も多いのだ。
無しの或斗とは身体能力の素地が違う。
その上狭い部屋の中、取り囲まれてもいる現状は非常に危うい。
或斗は逡巡したが、彼らは『暁火隊』の仲間である、虹眼の力を振るって制圧することにはどうしても抵抗があった。
ナイフだけは何とかして、袋叩き程度は覚悟するしかないか、と或斗が集団の1人から振り下ろされる拳を見上げたところで、資料室の扉が内側へ吹き飛び、強引すぎる開き方をした。
扉をおそらく蹴り開けたのだろうその人物は、見慣れた普の動きには及ばないものの、素早く或斗を取り囲む集団へ駆け寄り、あっという間に全員を殴り倒してしまった。
「落合さん……!」
それは或斗を囲む集団と同じ所属の、
落合は銀髪を短く刈り上げていて、青い目をしている、30代半ばの男性である。
見た目の通りダンジョン適性は決して低くなく、Cだ。
元々は戦闘メンバーとして『暁火隊』に加入し、現役時代はバリバリ任務をこなしていたそうなのだが、結婚して子供が出来たことをきっかけに危険のない仕事を求めて後方支援部隊へ回ったと本人から聞いたことがある。
落合は殴り倒したメンバーたちに麻痺ポーションをばらまいて気絶させてしまうと、パンパンと手を払って小さく息をついた。
「落合さん、助かりました……ありがとうございます。でもどうして……」
或斗が困惑と共にそう言うと、落合は或斗へ右手を突き出してNOとばかりに首を横に振った。
「おっと、礼を言うべきは俺にじゃないぜ」
「へ? それは一体……」
まだ状況も呑み込めていない或斗が目を瞬かせると、落合はウインクをきめて突き出した右手の親指を立て、サムズアップした。
「この襲撃計画を察知して、実行メンバーを調べ上げ、襲撃が1回にまとまるように仕向け、俺に助けを求めてくれた子がいる」
そう言って落合は蹴り開けた資料室の扉の方を向く。
「あのお嬢ちゃんの人徳はすごいぞ~」
その言葉に続くように、資料室に駆け込んできたのはミクリであった。
ミクリは1つの怪我もない或斗を見て、安堵のため息をつく。
「或斗くん、無事で良かった……!」
「ミクリ……! ミクリが落合さんに助けを求めてくれたって……!」
「うん、ギリギリ、だったけどね」
ミクリは肩で息をしながら顔を上げ、へにゃりと眉を下げた。
きっとギリギリまで各所を駆けずって、落合を呼んでくれたのだろう。
「ありがとう、ミクリ……」
床に散らばるナイフを見て、自分が非常に危ない場面にあったのだと実感した或斗は詰めていた息を吐きだして、ミクリへ下手くそな笑顔を向けた。
その顔を見てミクリもやはり眉を下げた頼りない笑顔を浮かべたが、胸の前でぎゅっと手を握り少し満足げに呟く。
「ちょっとだけ、助けかえせたね」
「……いつも助けてもらってるよ、たくさん」
或斗は今度こそ、心からの笑みを浮かべた。
友情を確かめ合えたことに満足したミクリはしかし、床で失神している後方支援部隊の先輩らを見て眉を寄せる。
「でも、皆本当は良い人たちばかりなの。こんなリンチみたいなことするなんて、信じられない……」
確かに、と或斗は違和感を覚える。
『暁火隊』の後方支援部隊は適性よりも人柄を重視して採用されている、或斗も親しくはなかったとはいえ先ほどのような詰め寄り方をされるほど彼らから憎しみを買う覚えはなかった。
考えを巡らせた或斗はハッとして、六芒星の虹眼、視魂を発動させ、床に倒れている後方支援部隊の面々を視る。
彼らの澄んだ魂には、ほんの少しだけ黒い靄がまとわりついていた。
「巳宝堂の仕業だ……!」
このような形で仲間を、『暁火隊』を想う人々を利用されたことが許せず、或斗は拳を震わせた。
他方、『暁火隊』支部 分析所にて。
第一研究室と書かれたプレートがあるのは茂部専用の研究室である。
様々な薬品や検体、論文の束やタブレットの放置されている部屋の中で、茂部が3つも4つもモニターに繋がっているパソコンをカタカタと操作している。
しばらくすると茂部は操作を終え、ふうと息をついて脂汗の浮かんだ額を拭った。
「うむ、出来たな。これで戦える」
モニターのうちの1つには、綺羅綺羅しい洒落たデザインのサイト、「此結 普ファンクラブ」のページが開かれてあった。