その夜、僕は無料で神山詩織をラブホテルで夢中になって抱いた。彼女は卑猥な声を出している。 明日僕は仕事が休み。詩織もさっき訊いたら休みのようだ。だから今夜は泊まりにすることにした。僕は訊いてみた。
「詩織は僕のこと、どう思ってる?」
彼女は僕の顔を見た。そして、こう言った。
「セックスフレンドだと思ってる」
確かにそうだろう。でも、僕が訊きたいのはそういうことじゃない。
「いや、恋愛感情があるか、ということだよ」
すると詩織は、
「ああ、そういうことね。あたしはそういう気持ちはないよ。気持ち良くさせてもらい、なおかつ、お小遣いも貰えるよき友達と思ってるよ」
なるほどな。
その時だ。僕のスマホが鳴った。相手は父からだ。
「もしもし」
『お前、今どこにいるんだ?』
あ、言っておくの忘れていた。今のところ、父と二人暮らし。母は父と離婚していてどこにいるかわからない。正社員になったら、一人暮らしをしようと考えている。そしたら、こうやって父から電話がくることもなくなるだろう。
「友達の家にいるよ」
僕は嘘をついた。そりゃあ、本当のことを言えるわけがない。言っても怒られはしないと思うが、恥ずかしい。
『今夜は帰って来ないのか?』
「うん、泊まるわ。だから、僕の分の夕食はいらないよ」
『そうか、わかった。女のところにいるんだろ?』
なぜ、わかるんだ。さすがだ。
「まあ、そんなとこ」
『だよな! ガハハハッ!』
と父は大きな声をあげて笑っていた。それから、
『まあ、ゆっくり楽しんでこい』
そう言って電話をきった。 僕は詩織に今の話しをした。
「今の電話、父さんなんだけど、女と会ってるんだろ、ゆっくりしてこい、って言ってもいないのにバレバレだわ」
「さすが、お父さんね。だてにあなたの親をやっているわけじゃないわ。でも、恥ずかしがることはないよ。もうバレてるんだから」 言いながら詩織も笑っていた。僕は恥ずかしいと思う。いくら隠してもバレてしまう。父の方が一枚上手だ。そう思うと、僕はやりたい放題していいんだ、よし、もう一回詩織を抱こう、と思った。「詩織、ベッドに行こう」
「うん、もう一回するの?」
「ああ、バレてるならやりたい放題だと思ってね」
「まあ、確かに」
ベッドに移って僕は詩織に口づけた。舌を入れ、深く深く彼女の唾液がなくなるんじゃないかと思うくらい、舌を絡め、唾液を吸った。それを僕は飲みこんだ。さらさらした唾液だ。 僕はもう一回、詩織を抱いた。何度抱いても気持ちがいい。