翔太が連れて行かれてから一週間が経った。
亜希子からの連絡では、翔太は入院したという。
精神科の閉鎖病棟。
面会は禁止されている。
ある日、茜に手紙が届いた。
差出人は翔太だった。
震える手で封を開ける。
『おばあちゃんへ
今、病院にいます。
でも、俺は正常です。
愛しているだけなのに、なぜ閉じ込められなければならないのか。
でも、諦めません。
いつか必ず、迎えに行きます。
それまで、元気でいてください。
おばあちゃんのことを思わない日はありません。
朝起きた時、最初に浮かぶのはおばあちゃんの顔です。
夜眠る時、最後に思うのもおばあちゃんのことです。
この気持ちは変わりません。
永遠に。
愛しています。
翔太』
茜は手紙を読み終えると、胸に抱きしめた。
涙が溢れた。
この子の想いは本物だ。
狂気かもしれない。
異常かもしれない。
でも、本物だ。
そして、自分は……
茜は認めざるを得なかった。
この異常な愛情を、完全には拒絶できない自分がいることを。
必要とされる喜び。
求められる陶酔感。
それは確かに存在した。
手紙を仏壇に仕舞いながら、茜は思った。
これは罪なのか。
孫に愛されることが。
そして、それを心のどこかで喜んでいることが。