離婚届を渡したら、三度も裏切った夫が泣きながら跪いたけど、もう遅い
あきの
恋愛現代恋愛
2025年06月04日
公開日
4.4万字
完結済
誰もが言った。久瀬隼人は、霧島栖を命よりも大切に愛していると。
彼は彼女を十年求め続け、十年かけて甘やかしてきた。彼女がほんの少し眉をひそめただけでも、彼の心は痛んだ。
だが、そんな久瀬隼人は、霧島栖を三度も裏切った。
一度目は、あるパーティーで、ライバルに薬を盛られ、女子大生白鳥瑶と一夜を共にした時だった。
二度目は病院で、白鳥瑶の妊婦健診に付き添う隼人を目撃。
「事故で彼女に命を救われた。祖母が命を絶つなんて言い出して……どうしても子どもを産ませなきゃいけなくなったんだ」
栖を抱きしめ懇願した。
「子供を産んだら遠ざける」
栖は信じた。
三度目はオークションで、栖の亡き母の形見のサファイアネックレスを隼人が奪い取り、瑶に贈る。問い詰めると「瑶がマタニティブルーで欲しがる。譲ってくれないか?」
栖は笑いながら涙した。
ある夜、傷つけられ、裏ぎ続けられた霧島栖は、久瀬隼人から逃げると決心した。