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0701 小さな傷口

花岡麗奈は高校に上がってから友達が増えた。

一人しかいなかった友達があっという間に5人に増えた。

しかしながら友達付き合いはまだまだ改善の余地アリ。特に朝出会ってどう話しかけて良いか分からない。


特に有坂日向に話しかけるのが難しい。


彼女は、一卵性の双子なのである。

隣のクラスにいる有坂日葵に間違えて話しかけてしまい日葵さんから睨まれてしまったのは記憶に新しい。


喋り出せば声のトーンでどちらか区別がつくのだが黙っていたら本当に分からないのが困る。


だから登校時に目の前で歩いている女の子がどちらなのか考えかれこれ五分程…。


「おっはよー!日向」


同じクラスであり、友達でもある女の子。井口かりんが日向さんに抱き着いた。


「うぉ!」


驚いて叫ぶ彼女の声からしてもどうやら本当に日向さんだ。

私も今来たのかの様に装って会話に合流。


「おはよう、日向さん、かりんさん」

「お、おはよかりん。

それにレナも」

「おはよ!-ってそれどうしたの?」


日向さんが振り向くと彼女は左頬に絆創膏を付けていた。


「あー…、これね」


彼女は絆創膏を剝がし中を見せてくれる。

直線で1センチほど。横一文字に刻まれた赤黒い線。


「昨日ガラス片で切っちゃったんだ。

傷は小さいけど顔に飛んできたのはマジ最悪」

「ガラス片!?

大丈夫ったの?」

「大丈夫だったら絆創膏つけてないよ。顔だからしばらく後残るかもってさ」


日向さんは絆創膏を張り直してため息。


「顔に傷残ったらどうしよう…」

「傷が残ったら日葵と区別がつきやすくなるね」

「…確かに。

日葵に間違われずに済むなら良いかも」


納得している日向さん。

区別だけの為なら日葵さん側に傷がついてても同じだったのでは…と考えたがそれが言える程私のコミュ力は高くなかった。


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