私の彼氏の部屋から女物の下着が見つかった。
彼氏には女家族は母親だけ。
盗品かどうか問い詰めれば彼は力強く違うと否定したが浮気かと聞いたら一瞬の間があった。
となれば十中八九浮気だろう。
彼氏を問い詰めたが女の名前を吐かない。
理由を聞けば濁して説明しない。
「よし、分かった。
これ以上は私は質問しないしこの件は見なかったことにする。
その代わり一つだけあんたは何も言わず私のいう事を聞いて」
彼氏は目を少し泳がせた後飲み込むように「分かった」と一言。
「この家の少し離れた所にあるファミレスで1時間だけ待ってて。この部屋を捜査するから」
「…それは」
「別にちょっとマニアックなエロ本が出てきたり他の浮気の証拠が見つかっても言いふらしたりしないわよ。
まさかとは思うけどこのパンツの子以外にも浮気しているとか?」
「いや、それはありえない!」
「よし、それじゃあ行った!」
彼を部屋から閉め出した後私は一人の知り合いに声をかけた。
声をかけたのは犬童ハル。
私と彼の共通の知り合いで「ものすごく鼻が良い」知り合いだ。
ハルが来れば昨日誰がこの部屋にいたのかすぐ分かるだろう。
私は電話ですぐハルを呼び出し、部屋を嗅がせた。
彼女は目を閉じ、周りをかいでまわった。
「ハル。誰の匂いがあるか教えてもらえる?」
「あの人の匂いしかないよ」
「ついでにあいつが昨日食べたのは何?」
「ソースと肉…。小麦系の匂いはしないのと三角コーナーの残骸から見てごはんと野菜炒めかな?」
「なるほど」
彼女は目を開けて口を閉ざした私の方を不思議そうに見た。
「つまり私の彼氏を寝取ったのはあんたな訳か」
「何の話だい?」
ほんの少し彼女の目が見開かれていたがそれを見なかったことにして彼女の反論を聞く。
「昨日の夕飯の匂いは嗅ぎ取れるのに何で私の匂いは分からなかったのかしら。
それと外の女がいた事は分かってるのに全く無反応っておかしくない?」
「…私が嗅ぎ逃したって可能性は?」
「無い訳じゃないけどいつもの気遣いが出来る貴方なら匂いが分からないって言うはずじゃないかしら」
「それはたまたま今日が違っただけじゃない?」
「ならせめて私の匂いくらいはするでしょ。
わざわざあなたが来る前にアホみたいにスクワットしてたから汗のにおいがしない訳ないんだけど」
それを聞いた彼女は後ろを向こうとしたので慌てて彼女の顔を掴み目線を固定。
「それにさ、この部屋で見つけた髪なんだけど短くて茶色が勝ってるよね。
貴方の髪みたいに」
彼女の目が背えワシなく反復幅跳びを始めた。
「それとこの間遊びに行った時黒とか赤の勝負下着持ってるの見せてくれたよね」
「見たって言うか…君が勝手に見たんだけどね…」
「まぁそうだけどそれでどうなの?
私の彼氏を寝取って結構しっかりやったのよね。
一昨日使ったゴムとは別のゴムがゴミ箱から出てきたんだけど」
彼女は視線を下に落とすと同時にその場に座り込んで両手を地面に。
深々と頭を下げ絞り出すか細い声で訴える。
「もうしわけありませんでした…」