「オラオラ鳥の肉は、炙り焼きが最高じゃ」
「うん、間違いなく美味しそう!」
様々な調理用魔道具が揃う新居のキッチン。
猫神様と俺は石窯の中に入れる焼き網に肉を並べながら話している。
半球型の石窯の中には、火魔法を込めた魔石が入っている。
石窯の素材は、この島の岩石。
俺が以前に働いたピザ屋の窯を思い出しながら、【生成】で組み上げた物だ。
石窯があればパンやピザも作れるし、肉や魚も炙れるからいろいろと便利だね。
「みっ、みっ」
石窯の中に肉が入り、炙られていい匂いが漂い始めると、ルカが期待に満ちた声を上げる。
そういえば、ルカがニャーと鳴いたの聞いたことないなぁ。
彼女は小さく短く「みっ」と鳴くんだ。
「猫は肉食獣っていうから生の方が好きかと思ったけど、炙った方が好きなのかな?」
「加熱した方が香りが強まるからのぅ。この香ばしい匂いは、猫にも魅力的に感じるものじゃ」
調味料不使用、石窯で炙っただけのオラオラ鳥の肉。
ルカが食べやすいように小さく切って、手で触れられる程度の温度まで冷ましてあげた。
それを小皿に盛って段ボール箱の方へ近付いたら、ルカがピョ~ンと飛び出した。
「みみっ、みっ、みっ」
「はいはい、今あげるよ」
小皿を床に置いてあげたら、ルカが飛びつくような勢いで食べ始めた。
猫まっしぐらという感じ。
あとはもう夢中でハグハグ食べている。
「キュー、キュー」
段ボール箱の中に残された小さい毛玉たちが鳴いているが、おかまいなしで貪り食う。
まあ、しっかり食べなきゃ母乳が出ないだろうし、今は放置でいいんだろう。
ガツガツ食べ続けるルカをそのままに、俺は自分用に香草と塩を振りかけた肉を石窯に入れた。
使った香草は、家のすぐ近くの茂みから手に入れたもの。
ローズマリーによく似た香りがするので、肉や魚料理に合いそうだ。
「我のも一緒に焼いてくれるかの?」
「はーい……って、足ついてるけどっ?!」
猫神様がニコニコしながら異空間倉庫から取り出すお肉。
骨付きモモ肉、鶏でいうとチキンレッグの部分なんだけど。
足、そのまま付いてるんだよなぁ。
「【分離】で汚れは取り除いておる。気にせず焼くがよいぞ」
得意気に言う猫神様。
俺は石窯に足付き肉を突っ込んで焼いてあげた。
ジュウジュウ音をたてて炙られる肉。
こんがり焼けたオラオラ鳥肉は、柔らかくてほどよい弾力があり、パリッと焼けた皮の裏側の脂も溶け出してジューシーさを増していた。
「いただきまぁす……ん~っ、うまっ!」
「うむうむ、そうじゃろうそうじゃろう」
最初の一口をかぶりついて咀嚼して味わい、飲み込んだ後に感動を伝える俺。
ソファに並んで座りながら足付き肉を豪快に齧る合間に、猫神様が満足そうに答えた。