そして――システムの言葉は、間違っていなかった。
この世界に転送された直後、
やっとの思いで遠くから神谷慎一の姿を見つけたその瞬間、
彼の背後に控えていた屈強なSPたちに、私はあっさりと気づかれてしまった。
彼は全身黒ずくめで、上着を肩にかけ、ある私立小学校の門前に立っていた。
どうやら、息子の下校を待っていたらしい。
私の存在には、目もくれなかった。
冷たく無表情な横顔を見つめながら、
胸の奥に、なぜだか制御できないほどの悲しみが込み上げてきた。
涙が出そうなくらい、苦しくて、悲しい感情だった。
私はその場で呆然と立ち尽くしていた。
SPたちが接近していることにも気づかないまま。
気がついたときには、私はコンクリートの塀に叩きつけられ、
体のあちこちに激痛が走っていた。
睨みつけるような顔をしたSPが、私に向かってこう言った。
「余計なものを見るな」
冷たく見下ろしたまま吐き捨て、
「次に同じことをしたら、今度はただじゃ済まない」と、凄んだ。
私は地面に這いつくばったまま、その場に取り残された。