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第7話

目の前の白い文字は、一瞬たりとも途切れなかった。

私の言葉が終わった瞬間、整然と、そして統一された嘲笑が飛び交った。


【システム、完全に投げたんじゃない?】

【似た顔の子は送り込んだ――】

【似た性格の子も送り込んだ――】

【こんなにストレートに、名前が同じ攻略者を世界に送り込むのは初めてだぞ。】

【システム、ほんとに悪役さんの怒りを怖がってないんだな…】

【攻略者を悪役さんの前に差し出して『結城望が欲しいなら、結城望を連れてきたよ』って言うのと変わんないじゃん…】


熱気に包まれた文字たちとは対照的に、

目の前の少年の顔には笑みの影もなかった。

彼はただ淡々と口を開いた。

「僕は結城蓮(ゆうき れん)」

そう言い終えると、彼の視線はさらに私に集中した。

まるで観察し、私の反応を待っているかのように。


結城望、結城蓮…

なぜ同じ苗字?

弾幕が漏らした内容と合わせて考えると――

おそらく、神谷慎一の亡き妻の名も、結城望なのだろう。


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