書店で働き始めて約一ヶ月。
私の傷がだいぶ癒えてきた頃、
私は再び、偶然神谷慎一と出会った。
夜の11時、書店の店主が、まとめた本の束を向かいのビルに届けるよう私に言った。
警備員の幾重もの審査と尋問を経て、
ついに初めてあのビルの中へ足を踏み入れた。
本を注文主に渡し、私は帰ろうとした。
夜のオフィスビルは静かで、ほとんどの社員はもう帰宅していた。
だからエレベーターを待っている時、
廊下の奥からかすかな物音が聞こえてきた。
それは、人が極度の苦痛に襲われた時に発する音のようだった。
エレベーターがなかなか来ない。
私は首をかしげて、廊下の奥を見た。
目の前の文字は、余計なことに首を突っ込むなと叫んでいた。
彼らはむしろ、この機会に地下駐車場に降りて、
退社する神谷慎一を待ち伏せするよう、私にアドバイスしてきた。
しかし、あのかすかで苦しげな嗄れ声を聞きながら、
その場に立ち尽くし、しばらく黙っていたが、結局振り返って廊下の奥へ向かった。