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第18話

「私が彼らの書店と購入契約を結んだ」

神谷慎一の声は低く冷たく、人情味など微塵も感じられなかった。

しかし、その言葉が終わるやいなや、場にいる全員が頭を深く下げた。


私よりも先に我に返ったのは、

あの白い文字たちだった。

何本もの線が密集し、私の視界を埋め尽くした。


だが今回は、その内容が驚くほど単純で統一されていた。

疑問符だけ、画面いっぱいの疑問符だった。


【見逃した回がある?】

【書き込んでないだけで死んだわけじゃないんだが、今の状況を説明してくれる人いる?】

【悪役さん…なんで突然現れたの?】

【いや…毎日このお姉さん見てるけど、俺の知らないことなんてできるわけ?】


私はぼんやりと顔を上げた時、神谷慎一の黒い革靴がもう私の足元に止まっていた。

手首に冷たい感触が伝わった。神谷慎一に突然掴まれたのだ。

彼は私の手首を囲むように掴み、逆らわせない力を込めていた。


私は神谷慎一の手を振りほどくことも、振りほどく力もなかった。

手を上げた拍子に、抱えていた本の束が床にばらばらと散らばった。


私はゆっくりと顔を向け、神谷慎一の漆黒の瞳の中にこの世界に入った。

彼はわずかにうつむき、まっすぐに私の目を見つめ、とても深く、深く見つめていた。

しかし、私が彼の目の中の感情を探ろうとした時、彼はすでにわずかに顔をそらしていた。

「相変わらず、ちっとも成長してないな」彼は私に言った。


そう口にしながらも、

私の手首を握る手は、微動だにしなかった。


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